研究課題/領域番号 |
22K06285
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
早間 良輔 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (70781798)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 光周性花成 |
研究実績の概要 |
赤道付近に位置するエクアドル・ガラパゴス諸島に特有のトマト野生種Solanum galapagenseは典型的な短日植物であり、日長の年間変化がほとんど無い場所で生育するにも拘らず日長認識の能力を保持する。SP5Gは S. galapagenseの長日条件下での花成抑制を引き起こす遺伝子であり、そのmRNAの蓄積は長日条件下において特異的に起こる。S. galapagenseの日長識別機構について明らかにするために、シロイヌナズナにおける日長認識に機能するCONSTANS(CO)と類似したタンパク質をコードする二つのS. galapagense類似遺伝子SgCO1、SgCO2の機能解析を行った。これらそれぞれを自身のプロモーターにより発現する形質転換S. galapagense(pSgCO1::SgCO1:GFPならびにpSgCO2::SgCO2:GFP)について、昨年度は形質転換遺伝子をホモに持つ種子を得たので、これら形質転換体でのSP5Gの発現様式を解析した。その結果、SP5GのpSgCO1::SgCO1:GFPラインでの発現量は野生型株と比べ変化が見られなかったが、pSgCO2::SgCO2:GFPラインでの発現量は有意に上昇していた。また、SP5GのpSgCO2::SgCO2:GFPでの発現上昇は、光の下でのみ観察され、暗黒では認められなかったことから、SgCO2は何らかの形で光により活性化されSP5Gの転写を誘導することが考えられた。SgCO2のこのような光活性化はシロイヌナズナCOタンパク質の光による安定化を連想させる。COの光安定化はシロイヌナズナの日長識別に関わる非常に重要な機構であることから、SgCOの光安定化がS. galapagenseにおいて起こるかどうかを今後調べる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
S. galapagense形質転換体の花成時期が遅く、形質転換遺伝子をホモに持つ種子を安定的に得ることが困難なため、研究の遂行が予定よりも若干遅れて推移している。
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今後の研究の推進方策 |
形質転換体の開花遅延は栽培環境で使用している白色LED内の赤色光が関与している可能性が高いため、形質転換体の花成時期の短縮のため、遠赤色光LEDを使用することを予定している。また、S. galapagenseは他の植物と比べ栽培中に非常に高頻度に病気に罹患するので、UVに近い波長を持つ紫色LEDの使用も検討している。2023年度の主な研究内容はpSgCO2::SgCO2:GFPを用いたSgCO2タンパク質量の解析がメインとなる。この実験はSgCOタンパク質が光照射により安定化されるかを調査するものであり、SgCOがS. galapagenseの日長識別に関与するかを明らかにするための直接的な実験となる。また、S. galapagenseが日長に対してどの程度高感度なのかを明らかにするために、S. galapagenseを9つの植物育成チャンバーを用いて様々な日長条件の下で育成し、SP5Gの発現レベルならびに花成時期の変化を調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
植物育成チャンバーを当初購入する予定であったが、必要なチャンバーについては大学が別途購入し、科研費による購入の必要がなくなったため。差額は2023年度に主に消耗品費に充てる予定である。
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