研究課題/領域番号 |
22K06292
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
林 八寿子 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20228597)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | リピッドボディ / オートファジー / 子葉細胞 / ペルオキシソーム / 貯蔵脂肪 / リポファジー |
研究実績の概要 |
本年度は、暗所生育3日目での野生株とグリオキシル酸回路機能欠損株(icl)とのLBの残量を統計解析した。その結果、野生株だけでなく、グリオキシル酸回路機能欠損株(icl)においても、光照射を開始するとLBが有意に減少していくことが明らかとなった。また、ショ糖の有無による違いについては、暗所生育時も、光照射後も、野生株ではショ糖無しの方が減少率は大きいが、グリオキシル酸回路機能欠損株(icl)では、暗所生育時も、光照射1日目でも差がないことがわかった。 また、本年度は、電子顕微鏡解析によって、LBの大きさの挙動も解析した。その結果、野生株でも、グリオキシル酸回路機能欠損株(icl)においても、基本的には、暗所生育時にはLBの大きさは大きいが、光を照射すると小さくなることがわかった。しかし、ショ糖ありのグリオキシル酸回路機能欠損株(icl)では、大きさは変化しない。また、暗所生育時には、野生株においては、ショ糖の有無による大きさの違いに有意差はないが、グリオキシル酸回路機能欠損株(icl)では、ショ糖の有無による大きさの差は有意であり、ショ糖なしのグリオキシル酸回路機能欠損株(icl)が、野生株と比べて特に大きいことが示された。光照射後では、野生株よりも、グリオキシル酸回路機能欠損株(icl)の方が、ショ糖のあるなしに関わらずLBは大きいことも分かった。 また、本研究とは少し異なるが、これまでの成果をもとに、シロイヌナズナのペキソファジーについて論文報告した(Autophagic Punctum, S. Goto-Yamada et al., 2023)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ATG変異株については、種子の貯蔵脂肪が元々少ないなどの想定外の事実により解析は進んでいないが、野生株とグリオキシル酸回路機能欠損株(icl)との比較を詳細に進めることで、目的に対する研究は進んでいると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでは、LBについてのみの挙動に注目した解析を行ってきたが、残り2年間では、LBとペルオキシソーム、LBと液胞、LBとライソソームなどのオルガネラ間の相互作用に着目した挙動解析を行う予定である。LBの膜が可視化できるOle-G株に頼らずに、後染めの染色液を用いることで、子葉細胞内のLBを染色する方法を確立したので、今後は、さまざまなオルガネラ可視化株を用いて、LBを共染色して、詳細に観察する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
論文執筆のための英文校閲費等を予定していたが、後にずれたために、今後の出費予定となっている。
|