研究課題/領域番号 |
22K06323
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
櫻井 健志 東京農業大学, 農学部, 教授 (20506761)
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研究分担者 |
藤井 毅 摂南大学, 農学部, 講師 (30730626)
安藤 規泰 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (70436591)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 性フェロモン / カイコガ / 匂い源定位 / フェロモン分解酵素 / 嗅覚 |
研究実績の概要 |
本研究は、カイコガをモデルとしてオス触角で機能するフェロモン分解酵素の機能的役割を明らかにし、効率的なフェロモン源定位行動を可能とするフェロモン受容細胞の応答キネティクスを制御する分子機構を解明することを目的としている。 本年度は、前年度実施したカイコガ触角のRNAseqデータの解析を引き続き実施し、雌雄の触角間で最も顕著な発現量の差異がみられる代謝関連遺伝子としてアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子を見出した。本遺伝子はオス触角の発現量がメスと比較して約220倍高かった。これは、フェロモン受容に関与する受容体遺伝子やフェロモン結合タンパク質遺伝子と同程度の差異であり、本遺伝子がオスの触角で特に重要な役割を果たすことが示唆された。そこで、本遺伝子をフェロモン分解酵素候補遺伝子と考え、CRISPR/Cas9を用いたノックアウトカイコガの作出に取り掛かり、現在ノックアウト体の作出中である。また作出されるノックアウト体を用いた触角の電気的応答の解析を推進するために触角電図(EAG)を簡便に計測可能な装置の開発を行った。 並行して、オス成虫触角ホモジネート中にボンビコールを加えたときの分解産物の分析を行った。前年度、薄層クロマトグラフィー(TLC)で分析を行ったものと同条件で処理をしたサンプルについてGC-MSによる分析を行った結果、TLCから推測された炭化水素の存在を示唆するピークを確認した。今後、詳細な分析を行い、これらのピークの化合物の同定を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度の段階で、フェロモン分解酵素の候補遺伝子の選定の再検討の必要が生じたため、申請当初の計画からやや遅れが生じていた。本年度は、候補遺伝子の選定が完了し、本研究の達成に必要なノックアウト体の作出に取り掛かることはできたものの、作出完了にいたらなかった。分解産物の同定に向けた分析や、ノックアウト体の作出完了後の研究を加速するための実験機器の開発など成果が得られているものの、ノックアウト体を用いたデータの取得にいたっていないため、当初の計画からやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本課題の目的達成には、フェロモン分解酵素遺伝子のノックアウトカイコガを用いたin vivoでの機能解析、フェロモン分解産物の同定と分解経路の特定が必要である。現在進めているノックアウトカイコガの作出が完了次第、本年度開発した計測装置などを用いて触角の電気的応答や行動計測を直ちに実施することで、分解酵素の機能同定およびフェロモン源定位行動における機能的役割の解明を行う予定である。フェロモン分解産物の同定についてはこれまでに行ってきた触角ホモジネートを用いた実験系が有効であることが示されているため、引き続き分析を進めて研究期間内に分解産物および分解経路を特定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では本年度中にフェロモン合成酵素候補遺伝子のノックアウトカイコガを作出し、in vivoでの候補遺伝子の機能解析を実施する計画であった。しかし、進行状況の項目で理由を述べたように、ノックアウトカイコガの解析に係る研究を次年度に持ち越したため、次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額はノックアウトカイコガの解析および系統維持に使用する計画である。
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