研究課題/領域番号 |
22K06333
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
長岐 清孝 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (70305481)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | クロマチン / 画像機械学習 |
研究実績の概要 |
「核内クロマチン構造は、植物種間および細胞種間において、どの様な特異性および多様性をもつのか?」を本研究の学術的な問いとし、本研究ではこれらを解明するために申請者らが開発した「植物組織標本を用いたクロマチン解析法」を高感度化し、「AIによる細胞画像の高速解析法」と組み合わせることにより、植物組織内の異なる細胞種の核内クロマチン構造の大量高速解析系を構築し、核内クロマチン構造の特異性および多様性を解明する。 本年度は、ゲノム編集に用いられるSpCas9酵素と標的DNA配列認識のための標的特異的crRNAおよび1分子の蛍光色素を付加した汎用tracrRNAを用いて形成させた複合体を用いて標的配列を可視化する技術であるRGEN-ISL法の改良により、これまで高頻度反復配列のみが検出可能であった本法の検出感度をシングルコピー配列が検出可能なレベルまで引き上げることを目指した。 シングルコピー配列検出のために必要な標的サイト数を判断するために、トマトのヒストンH2Aアレルの検出を試みた。このアレルには、ヒストンH2A遺伝子を含む配列が10回反復している。このため、この領域に21種類のcrRNAをデザインすることにより、このアレル内の98箇所を標的サイトとすることができる。この21種類のcrRNAを同時検出するRGEN-ISLを行ったところ、一部の間期核に1および2個のシグナルを観察することができた。この結果から、約100の連続した標的配列を用いれば、シングルコピー配列が検出可能であることが示唆された。しかしながら、シグナルは微弱で、検出された細胞も限られたことから、検出感度の更なる向上が必要であるとも考えられた。 加えて、AIを用いた画像解析においては、学習画像の数を増やすことにより、これまで80-90%だった細胞周期の各時期の細胞の検出精度を90-95%へ向上することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
約100箇所の標的サイトに対するcrRNAをデザインすれば、シングルコピー配列が検出可能であることを示唆できたこと、および、AIによる細胞の検出感度も向上できたことから、研究は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はCas9に8アミノ酸からなるストレプトTag IIを複数連結し、これを蛍光標識したストレプトアビジンを用いて検出することにより、これまでCas9複合体ひとつあたり1分子だった蛍光色素の数を増やし、更なる検出感度の向上と必要な標的サイト数の削減を試みる。 また、これまで用いてきたSpCas9より分子量の小さなSaCas9を用いた可視化系を開発することにより、Cas9複合体の組織浸透性を向上し、これまで検出の難しかった細胞が高密度に集合した組織での可視化も試みる。 加えて、学習画像の追加による、AIによる画像解析の更なる高精度化も試みる。
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