研究課題
研究代表者は植物が陸上に進出した要因を明らかにするために、陸上植物の側系統群に属するストレプト藻類クレブソルミディウムのゲノム解析に基づき、陸上環境への適応機構の進化過程を明らかにしてきた。その中で陸上植物においてアブシジン酸シグナル伝達経路であり乾燥応答に関与するbZIP型転写因子AREB2がクレブソルミディウムにも存在し、乾燥応答に関与していることを明らかにした。本研究は陸上植物の乾燥およびABAシグナル伝達機構の成立過程を明らかにするために、クレブソルミディウムにおける乾燥情報伝達機構を明らかにすることを目指す本年度、乾燥条件のトランスクリプトーム情報に当研究室が持つ他の条件におけるトランスクリプトーム情報を含めて再解析を行った結果、乾燥応答遺伝子とオーキシン応答遺伝子の約半数が共通している事を明らかにした。さらにシスエレメント解析を行った結果、オーキシン初期応答遺伝子にもAREBの結合が期待されるシスエレメントであるABREモチーフが有意に濃縮されていることが示された。そこで、過去の研究で明らかにしていたオーキシン初期応答遺伝子のプロモーターに対して、AREBが転写を活性化するか、ベンサミアナタバコを用いたレポーターアッセイによりに解析を行った。その結果、乾燥応答にはAREB2のみが関与するが、オーキシン初期応答遺伝子はAREB1/2の双方によって転写が活性化されることが期待された。したがってAREB2は乾燥応答だけではなく、オーキシン初期応答にも関与し、AREB2は複数の情報伝達機構の集約点として機能している可能性が示唆された。
4: 遅れている
本年度は所属研究室の移動により、研究環境の大幅な変更があり、研究環境の立ち上げに大きく時間を要した。
次年度より別途研究費にて雇用される非常勤職員としての勤務になるため、本研究のエフォートを下げざるを得ないが、研究環境の立ち上げを急ぎ、効率的に本研究の目標達成を目指す。
本年度は所属研究室の移動により、研究環境の大幅な変更があり、研究環境の立ち上げに時間を要し、研究を遂行できない期間が大きく生じた。そのため繰り越しした経費については、主として移動に伴い新たに必要となった植物・藻類の培養の器具、試薬、および前年度遂行を予定していたタンパク質解析に関わる器具、試薬の購入に使用し、本研究の目標達成を目指す。次年度より別途研究費にて雇用される非常勤職員としての勤務となるため、本研究のエフォートを下げざるを得ないが、効率的に研究を実施する。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Planta
巻: 258 ページ: 92
10.1007/s00425-023-04247-4
Scientific Reports
巻: 13 ページ: 9635
10.1038/s41598-023-36500-x