研究課題/領域番号 |
22K06366
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
吉田 ゆかり 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 准研究副主任 (10553216)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 熱水生態系 / ウイルス / 一本鎖DNA |
研究実績の概要 |
本年度は、沖縄トラフ鳩間海丘の熱水活動域から採取した試料を用いて、ウイルスの宿主となる好熱性化学合成独立栄養細菌を単離・培養した。16S rDNA配列を用いた分子系統関係を調べ、各培養株の系統学的位置ならびに分類情報を整備した。次に、一本鎖DNA抽出キットを用いて培養上清から核酸を抽出し、一本鎖DNAの存在の有無を調べた。その結果、2株の化学合成独立栄養細菌において一本鎖DNAが検出された。これらの培養株の濾液を電子顕微鏡下で観察したところ、長さ約1,200nm、幅約10nmの繊維状のウイルス粒子が確認された。形態学的特徴から、それらの粒子はInovirusに分類されることが明らかとなった。ゲノム解析の結果、両ウイルスとも鎖長約10kbの環状DNAを有しており、ゲノム上には14個の遺伝子がコードされていた。既知の一本鎖DNAウイルスとのゲノム比較を行ったところ、本研究で単離したウイルス2株は一本鎖DNAウイルスの中で新規な系統群に分類されることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、好熱性化学合成独立栄養細菌に感染する一本鎖DNAウイルスの単離・性状解析を進めることができており、研究が順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、一本鎖DNAウイルスの単離をさらに進めてライブラリの拡充を図るとともに、深海底熱水活動域から採取した様々な試料について、一本鎖DNAのメタゲノム解析を実施し、一本鎖DNAウイルスの群集構造を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は予定していたサンプリング調査がなくなったため、それに付随する物品・試薬等の購入費用が抑えられた。次年度には大規模なメタゲノム解析を実施予定であり、本年度の未使用予算については、そのシーケンス費用として使用する。
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