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2022 年度 実施状況報告書

四肢骨格筋の獲得に寄与したミオシン重鎖遺伝子群の分子進化

研究課題

研究課題/領域番号 22K06376
研究機関北里大学

研究代表者

田村 啓  北里大学, 理学部, 講師 (50458767)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード陸上進出 / ミオシン重鎖遺伝子 / 肉鰭類
研究実績の概要

陸上進出には、四肢形成、およびその骨格筋の獲得が重要であるが、その骨格筋の特性を決定するミオシン重鎖 (myh) 遺伝子の分子進化から、水棲・陸棲の運動様式に寄与する骨格筋の機構解明を目的として研究を行っている。
2022年度は、両生類(Xenopus tropcalis, Ambystoma mexicanum)およびハイギョ(Protopterus annectens) において特異的に保持されている新規型 myh 遺伝子群の発現解析および分子動力学(MD)シミュレーションを用いたMYHタンパク質の機能解析を行った。myh 遺伝子発現をアンプリコンシークエンスによって解析したところ、新規型 myh 遺伝子群は、両生類では尾部に発現していたが、ハイギョでは、尾部でも発現は認められたが、myh遺伝子における新規型myh 遺伝子の発現割合が低かった。また、両生類およびハイギョのMYH タンパク質のアミノ酸配列から立体構造を予測し、MDシミュレーションを行うことで、MYHタンパク質の特性を解析した。その結果、両生類およびハイギョの新規型 MYH タンパク質はヒトMYH1, MYH4 といった速筋型ミオシンと近い性質があることが分かった。以上のことから、脊椎動物の進化過程において、速筋型の性質をもつ新規型MYHを獲得し、四足動物へと分岐する過程で、発現部位が尾部や四肢に限局されていき、その後、完全陸棲脊椎動物では、新規型 myh 遺伝子群が消失した可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では、myh遺伝子の進化速度解析を行う予定だったが、タンデム重複しているmyh遺伝子は、各種で独自に重複していることが分かったため、祖先関係が類推できず、計画を変更した。しかし、「研究業績の概要」で述べたように、ハイギョの発現解析やMYHタンパク質の性質をMDシミュレーションによって解析を進めることができた。

今後の研究の推進方策

本年度の解析からハイギョの発現解析が進んだため、当初計画していた myh 遺伝子の部位特異的な発現制御領域を同定するにあたり、ハイギョのゲノム配列データも含めることで効率的に探索を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

予定していた消耗品費および外部委託費が抑えられたため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Neofunctionalization of a Noncoding Portion of a DNA Transposon in the Coding Region of the Chimerical Sex-Determining Gene dm-W in Xenopus Frogs2022

    • 著者名/発表者名
      Hayashi Shun、Suda Kosuke、Fujimura Fuga、Fujikawa Makoto、Tamura Kei、Tsukamoto Daisuke、Evans Ben J、Takamatsu Nobuhiko、Ito Michihiko
    • 雑誌名

      Molecular Biology and Evolution

      巻: 39 ページ: msac138

    • DOI

      10.1093/molbev/msac138

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 両生類及び肉鰭類ハイギョに特異的なミオシン重鎖遺伝子クラスターの分子進化2022

    • 著者名/発表者名
      加藤優斗,宮坂拓実,金子大輝,横山悠里,福井彰雅,伊藤道彦,高松信彦,田村啓
    • 学会等名
      日本進化学会年大会 第24回

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公開日: 2023-12-25  

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