研究実績の概要 |
本研究は,脊椎動物の進化過程における陸上進出に関与する四肢の形成,特に骨格筋に関わるミオシン重鎖(myosin heavy chain, myh)遺伝子の分子進化機構の解明を目的としている。これまでの解析から,脊椎動物のmyh遺伝子は,広く保存されているmyh遺伝子群(従来型)に加えて,両生類およびハイギョに保存されている新規型 myh 遺伝子群があることが分かっている。この新規型myh遺伝子群は,ハイギョと四足動物の共通祖先で獲得し,ハイギョと両生類では保存されている一方で,有羊膜類では消失している。そこで2023年度は,無尾両生類のネッタイツメガエル(Xenopus tropicalis), アフリカツメガエル(Xenopus laevis)および有尾両生類のメキシコサンショウウオ(Ambystoma mexicanum),イベリアトゲイモリ(Pleurodeles waltl)の初期胚における骨格筋myh遺伝子の発現解析を行った。その結果,解析を行った全ての生物種において,初期胚で新規型myh遺伝子群が主に発現していた。さらに,ツメガエルにおいては,変態最盛期に従来型myh遺伝子群に切り替わることが分かった。これらのことから,両生類の初期発生において,新規型myh遺伝子群が重要な役割を担っていることが示唆された。現在,ネッタイツメガエルにおいて新規型myh遺伝子をノックアウトした個体の作製に取り組んでいる。
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