研究課題
2023年度は2023年8/28-9/1につくば市にある国立科学博物館研究施設にて崇源寺跡遺跡出土近世人骨の歯科学的調査を行った。国立科学博物館研究施設には崇源寺跡遺跡出土近世人骨おおよそ600体分の人骨があるが、今回の調査の期間に94体の頭骨の調査を現時点では完了している。調査内容としては歯牙の残存状況、齲蝕や咬耗,歯磨きによる摩耗等の状況を調査票に記載し、歯や歯槽部の写真撮影を行っている。調査の過程で比較的多くの個体が唇頬面の滑面な歯牙を持っており、歯磨きによる摩耗と考えられ、文献にもある通り近世の江戸では歯を磨くことがはやっていた証拠と考えられる。また崇源寺跡遺跡出土の人骨は埋葬形式(甕棺、早桶、方形木製棺)により、所属する階層が推定できるものが多く、階層による歯科疾患状況や歯磨き状況の差異等を検討することが可能な集団となっている。
3: やや遅れている
主な調査対象であるつくば市にある国立科学博物館研究施設が長崎からは遠方にあり、1週間程度の調査期間が確保できるのが、夏休みや年度末などの長期の休みの時期となっている。2022年度は夏休みと年度末3月の2回調査を行った。2023年度も夏休みと年度末2024年3月に調査を予定していたが、調査先の国立科学博物館研究施設の人骨が2023年1月から3月に新しい保管庫へ引っ越しが入り、年度末の調査ができなかった。
現在、所属する顎顔面解剖学分野の教官が自分1人であり、教育の負担が申請時点より増していて、調査時期としては夏休みや年度末などの長期の休みの時期になると思われる。可能ならば調査の回数を増やしたいと考えている。また近世人骨を保管している他施設への調査も検討したい。
国立科学博物館研究施設での調査の回数が研究資料の引っ越し作業により予定よりも少なかったこと,研究代表者が成果発表旅費を使わなかったことが要因と考えられる。可能ならば調査の回数を増やし、また可能ならば,古人骨を保管している多施設での調査も検討したい。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
法医病理
巻: 28-2 ページ: 95-109