研究課題/領域番号 |
22K06428
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鈴木 龍雄 信州大学, 医学部, 特任教授 (80162965)
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研究分担者 |
田渕 克彦 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20546767)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | PSD / PSD lattice / structure / tubulin / microtubule / synaptic plasticity / synaptogenesis / structural plasticity |
研究実績の概要 |
申請者らが確立した精製法によって得られたPSD lattice (以下 PSDL)を用いて、 PSDの構造可塑性のメカニズム解明を目指した。PSDに内在するtubulinが関与して LTP発現に関わっている可能性の検証を進めた。 PSDにおけるtubulinの存在形態は微小管ではないことは申請者らが明らかにしているが、その具体的生理機能は不明のままである。PSDにはLTP発現時に一過性にspine headに侵入する微小管が接触すると想定されている。本計画では、まずこの一時的な PSD-微小管相互作用に PSDL tubulinが関与している可能性の検証を目指した。まず、in vitroでのPSDLと tubulin/microtubule 相互作用系を構築した。 電顕用グリッドに貼った formvar膜にPSDLを固定し、 tubulin重合中の液滴と接触させて、経時的にサンプルを固定し、ネガティブ染色後、観察を行った。その結果、PSDLが 形成されつつある微小管と接触している詳細な電顕画像が得られた。また、精製 tubulin標品中に PSDL様の構造が生じていること、それが微小管と PSDLと類似の相互作用を行っていることが明らかになった。このことは、外部 tubulinとの相互作用において PSDL内 tubulinが中心的な役割を担っていること示唆するものである。さらに、PSDとtubulin との相互作用についても解析を行い、 PSDL同様の対tubulin相互作用を行っていることが明らかになった。以上の結果は、tubulinが主体となって形成される特殊骨格PSDLが PSDの構造基盤となっているという申請者らの主張と矛盾しないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PSD lattice(PSDL)と tubulinの相互作用を、電子顕微鏡画像として捉えることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
PSD lattice (PSDL)の分子構築についてさらに研究をすすめ、 PSD の生体内での構築の仕組み、シナプス可塑性発現時における PSD構造のダイナミックな変化の仕組みについて分子レベルで追求してゆく。とりわけ、 PSD に内在するtubulinの生理的機能の役割の解明を進める。この大きな目標に向けて、研究を進める過程で新たに着想したアプローチを随時取り入れて研究を進める。論文発表は、申請内容全体をカバーする研究成果をまとめる予定だが、新たな発見のプライオリティーなどを侵害されない状況のもとで可能であれば、段階的に結果を学会発表などで発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19パンデミックにより海外発表(海外渡航)を行えなかったために支出の減少があった一方で、蒸留水作製装置の突然の故障があり、その修理費が必要となった。また、電顕写真の撮影枚数が想定以上に多量になった。 蛍光顕微鏡観察画像を顕微鏡本体から離れてリモートで見るのに Mac上でWindows OSを走らせるソフトウェアが必要であることが本実験中に判明した。その対応にソフトウエアの購入が必要になった。さらに、使用中のコンピュータのメモリー不足を解消する必要に迫られて一連のソフトウェアを購入することになり、最終的にわずかな残額が生じる収支となった。
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