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2023 年度 実施状況報告書

神経活動に伴うアストロサイトのAQP4依存的なATP/アデノシン放出

研究課題

研究課題/領域番号 22K06431
研究機関神戸大学

研究代表者

森田 光洋  神戸大学, 理学研究科, 准教授 (50297602)

研究分担者 塚本 寿夫  神戸大学, 理学研究科, 准教授 (90579814)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードアデノシン / AQP4 / 光遺伝学 / ホログラフィック顕微鏡 / カルシウムイメージング
研究実績の概要

独自に開発したアデノシンに対するバイオセンサーを用いて見出されたAQP4依存的なアデノシン放出は、神経活動に伴いアストロサイトのAQP4を介した水の動態が誘導されることを示唆している。本研究では、2光子ホログラフィック顕微鏡を中心に神経活動に伴う水動態と、これに関連したアデノシン放出の可視化を試みている。本年度は、これまでの研究で明らかになった2光子蛍光イメージングに伴うオプシンの活性化、いわゆるクロストークの問題に焦点を当て、この解決に取り組んだ。具体的には、一般的に広く用いられているGCaMPと赤色にシフトしたChRmineなどのオプションの組み合わせにおいて、GCaMPのイメージングに伴うオプションの非特異的な活性化を確認した。この非特異的活性化を回避するために、蛍光タンパク質とオプションの吸収波長が逆になるRCaMPとeTsChR2の組み合わせを検討したところ、1光子励起のRCaMPイメージングはオプシンの非特異的な活性化を引き起こさず、オプシンの応答が検出され多一方で、2光子励起ではオプシンの応答が消失した。これは RCaMPのIsosbestic pointにおける蛍光がGCaMPなどよりも大きいためであると考え、RCaMPの1光子吸収波長(約560 m) から推定される2光子吸収波長1120 nmよりも長い波長におけるイメージングを検討した。その結果、1200 nmでeTsChR2の応答が回復することが明らかとなった。これは励起波長を最適化することで、クロストークの影響を受けないall optical physiologyが可能であることを示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度の研究により、光遺伝学刺激とカルシウムイメージングを同時に行うall optical physiologyでは、イメージングに用いる励起光が、オプシンを活性化してしまう、いわゆるクロストークの問題があることが明らかになった。本年度はこの問題に焦点を当てて、検討を行うことにより、クロストークの影響を回避する技術的な進展が見られた。しかしその一方で、水の動態とアデノシンを可視化するという、本来の目的が大幅に遅れている。

今後の研究の推進方策

本年度達成した、クロストークの影響を受けないall optical physiologyの手法を活用し、研究計画の中心である、AQP4依存的なアデノシン放出の背景にある、神経活動に伴う水動態の変化の実体を解明するとともに、そのメカニズムを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

前年度の研究により明らかになった技術的な課題の検討を行ったため、本来行うべき実験に送れが生じており、そのため、本研究課題の支出が抑えられた。なお、上記の技術的課題は光学技術に関連して得られている別の研究助成により行われている。すでに述べているように、技術的課題は克服されたため、来年度は従来の目的に沿った研究に注力し、本研究費を活用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Incomplete accumulation of perilesional reactive astrocytes exacerbates wound healing after closed-head injury by increasing inflammation and BBB disruption2024

    • 著者名/発表者名
      Sawant Nitin、Watanabe Airi、Ueda Haruna、Okano Hideyuki、Morita Mitsuhiro
    • 雑誌名

      Experimental Neurology

      巻: 374 ページ: 114700~114700

    • DOI

      10.1016/j.expneurol.2024.114700

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 3次元光計測イメージングとその生命科学及び散乱透視イメージングへの応用2023

    • 著者名/発表者名
      的場修,森田光洋
    • 雑誌名

      光技術コンタクト

      巻: 61 ページ: 20-24

  • [学会発表] Holographic microscope free from nonspecific opsin activation by imaging laser, “crosstalk”2024

    • 著者名/発表者名
      Priyanka Gore, Yuya Atomura, Manoj Kumar, Xiangyu Quan, Osamu Matoba, Hiroaki Wake, Mitsuhiro Morita
    • 学会等名
      第46回日本神経科学会
  • [学会発表] Impaired recovery from focal closed-head injury by STAT3 ablation in perilesional reactive astrocyte2024

    • 著者名/発表者名
      Sawant Nitin, Morita Mitsuhiro
    • 学会等名
      第46回日本神経科学会
  • [学会発表] Analysis of Local Intracellular Signaling in Astrocytes Using Two-Photon Holographic Microscopy2024

    • 著者名/発表者名
      M. Morita, Y. Atomura, P. Gora, M. Kumar, X. Quan, O. Matoba, H. Wake
    • 学会等名
      XVI European Meeting on Glial Cells in Health and Disease
    • 国際学会
  • [学会発表] 生命活動の観察・操作を可能にするホログラフィック顕微鏡と散乱透視イメージング2024

    • 著者名/発表者名
      的場修,森田光洋
    • 学会等名
      第99回レーザー加工学会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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