• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

脳温維持の分子機構; 脳機能への寄与

研究課題

研究課題/領域番号 22K06434
研究機関長崎県立大学

研究代表者

柴崎 貢志  長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (20399554)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード脳内温度 / TRPV4 / アストロサイト / グリア / 温度 / 体温
研究実績の概要

温度は様々な生理機能に影響を与える生体の恒常性維持において、最も重要な因子の一つである。申請者は脳局所ごとに他領域よりも1-2℃高い領域が存在することも見いだした(J. Neurosci. 2018a, 2018b)。これらの知見より、世界で初めて脳内には特殊な温度不均一性が存在することが示された。しかしながら、温度不均一性がどのように産み出されるのか?とその存在意義が不明のままである。
1細胞レベルで温度分布を可視化するシステムを駆使して研究を進行出来ている。この系では、FPTを培養細胞や脳スライス標本に取り込ませた後で2波長蛍光イメージングを行い、インキュベーション温度に対する検量線を元に細胞内部の温度を0.02℃の精度と40 nmの解像度で解析が可能である。また、この研究から生命科学領域にインパクトを与える新たな知見を多数見出している。
昨年度の着目すべき研究知見として、環境温度(=体温)よりも冷たい細胞が存在する点を見出した。発熱を血流循環・放熱するだけで、脳冷却が本当に可能なのであろうか?昨年度見出した冷たい細胞が脳内で特殊吸熱源となっており、これらの特殊生理作用の総アウトプットとして、脳が効果的に冷却され、一定の脳温が保たれる可能性が高いと考えられる。
本年度は、脱共役剤・FCCPを投与し、強制的に熱産生を促した際の細胞レベルの温度変化を測定・比較した。その結果、冷たい細胞群とその他の細胞群の間で熱産生能には違いがないことが明らかになった。さらに温度イメージングで冷たい細胞を同定後、マニュピレーターでガラス電極を操作し、細胞内にAlexa568色素を注入しラベルした。そのラベル化細胞を用いて、グリコーゲン染色、ミトコンドリア染色を行った。現在までの解析からは、これらの染色において、特に他の細胞群との違いは見出されていない。次年度、さらに詳細な解析を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請計画に記した内容に基づいて研究が進行しており、おおむね順調である。グリコーゲン染色、ミトコンドリア染色の結果を定量評価する作業が難しく、この点に改善を要するので、次年度この作業を行う。

今後の研究の推進方策

次年度は組織レベルの解析を行う予定である。マウスから海馬急性スライス標本を作製後、海馬歯状回の温度イメージングを行う。そして、冷たい細胞を同定する。同定後、冷たい細胞が極端に少ない領域と多い領域に対して、様々な人工的加熱を行う。そして、領域間での組織温度上昇の違いを調べる。単位面積当たりの冷たい細胞の存在数と組織温度上昇の関係性をプロットし、吸熱細胞の働きにより、組織温度上昇が抑制されることを検証する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響により研究に使用する試薬(米国生産)の流通が滞っており、予定数の研究実施が出来なかったため。
申請計画に基づいて、次年度はマウス脳から調製した培養アストロサイトを用い、冷たい細胞の同定とラベリング、ミトコンドリア染色を行う。これら試薬の購入に次年度使用額を充てる計画である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] KU Leuven(ベルギー)

    • 国名
      ベルギー
    • 外国機関名
      KU Leuven
  • [雑誌論文] Transient receptor potential vanilloid 4 promotes cutaneous wound healing by regulating keratinocytes and fibroblasts migration and collagen production in fibroblasts in a mouse model2023

    • 著者名/発表者名
      Taivanbat Bayarmaa、Yamazaki Sahori、Nasanbat Bolor、Uchiyama Akihiko、Amalia Syahla Nisaa、Nasan-Ochir Munkhjargal、Inoue Yuta、Ishikawa Mai、Kosaka Keiji、Sekiguchi Akiko、Ogino Sachiko、Yokoyama Yoko、Torii Ryoko、Hosoi Mari、Shibasaki Koji、Motegi Sei-ichiro
    • 雑誌名

      Journal of Dermatological Science

      巻: 112 ページ: 54~62

    • DOI

      10.1016/j.jdermsci.2023.10.002

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] TRPV4 Regulates the Development of Psoriasis by Controlling Adenosine Triphosphate Expression in Keratinocytes and the Neuroimmune System2023

    • 著者名/発表者名
      Amalia Syahla Nisaa、Baral Hritu、Fujiwara Chisako、Uchiyama Akihiko、Inoue Yuta、Yamazaki Sahori、Ishikawa Mai、Kosaka Keiji、Sekiguchi Akiko、Yokoyama Yoko、Ogino Sachiko、Torii Ryoko、Hosoi Mari、Shibasaki Koji、Motegi Sei-ichiro
    • 雑誌名

      Journal of Investigative Dermatology

      巻: 143 ページ: 2356~2365.e5

    • DOI

      10.1016/j.jid.2023.05.009

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 低浸透圧刺激はアストロサイトTRPV4活性化を増強する2024

    • 著者名/発表者名
      柴崎貢志, 樺島利美果、立石周
    • 学会等名
      第101回日本生理学会
  • [学会発表] TRPV2 activation by focal mechanical stimulation enhances growth cone motility.2023

    • 著者名/発表者名
      Shibasaki, K.
    • 学会等名
      APSN
    • 国際学会
  • [学会発表] Analysis of intracellular temperature among astrocytes.2023

    • 著者名/発表者名
      Shibasaki, K, Tateishi, A.
    • 学会等名
      International Society for Neurochemistry
    • 国際学会
  • [学会発表] アストロサイト間の細胞内温度についての解析2023

    • 著者名/発表者名
      柴崎貢志, 立石周
    • 学会等名
      第66回日本神経化学会大会
  • [備考] 細胞生化学研究室(柴崎ラボ)

    • URL

      https://sun.ac.jp/profpage/shibasaki-lab

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi