研究課題/領域番号 |
22K06441
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
三井 真一 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (20295661)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ペアボンド / 受動回避試験 / 物体認知 |
研究実績の概要 |
申請者は、一夫一婦制を呈するプレーリーハタネズミの雌雄が交配関係にあると、電気ショックとそれを受けた場所との条件付け恐怖学習がオキシトシン依存的に減弱することを見いだしている。プレーリーハタネズミはつがいを形成(pair bond)すると、視床下部室傍核でのオキシトシンや側座核でのオキシトシン受容体の発現が増加することが知られており、pair bondによるオキシトシンシグナルの強化が恐怖学習の減弱に関与していると予想される。 前年度に引き続き、プレーリーハタネズミをつがい形成した群(pair bond群)と同性の2匹で飼育した群(cage mate群)とに分けて、受動的回避試験時の神経活動をcFosの発現を指標として計測した。その結果メスのpair bond群のc-fos陽性細胞数は、amygdalostriatal transition area (ASt)での有意に増加する一方、海馬歯状回では減少していた。また、各脳領域間のc-fos陽性細胞数について相関を検討したところ、オス個体ではpair bondによって相関を示す脳領域数が増加した。メス個体では、相関を示す脳領域が変化していた。 さらに、物体認知後のc-fos陽性細胞数についても検討を開始した。物体認知後のc-fos陽性細胞数はpair bond群とcage mate群、あるいは雌雄の群間に差は認められなかった。しかし、c-fos陽性細胞数の脳領域間の相関については、受動的回避試験と同様に、pair bondによってオス個体では相関を示す脳領域数が増加し、メスでは脳領域が変化する傾向が認められた。 本研究結果より、pair bondを形成することによる脳内の神経機構の変化に雌雄の違いがあり、恐怖学習や物体認知に対する神経活動が雌雄によって異なった可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
受動的回避試験および物体認知時でのc-fosマッピンを概ね終了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
オキシトシンアンタゴニスト投与によるc-fos陽性細胞の変動やc-fos陽性細胞の性状を明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
c-fos陽性細胞の性状解析を次年度に実施するように計画を一部変更したため。
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