• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

組織透明化で切り拓く軟髄膜マクロファージ研究の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 22K06443
研究機関新潟大学

研究代表者

内田 仁司  新潟大学, 脳研究所, 助教 (30549621)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードマクロファージ / 髄膜 / 組織透明化 / 3Dイメージング
研究実績の概要

最近の国内外の研究から、脳を覆う軟髄膜(くも膜と軟膜)に常在する免疫細胞(マクロファージ)は、脳の恒常性や疾患に関係することが示唆されているが、その役割は十分に明らかにされていない。本研究の目的は、新たな組織透明化手法を開発するとともに、3次元イメージングと3次元組織染色法を駆使して、軟髄膜マクロファージの空間分布を特徴付けるとともに、本細胞のマーカー分子の同定を通じて、機能操作ツールを確立し、その役割を明らかにすることである。本研究は、軟髄膜の免疫学的バリア機構とその破綻による疾患の理解に繋がることが期待されるために、極めて意義深いものである。
2023年度では、研究実施計画に基づき、前年度に引き続き、新たに開発した「蛍光とRNAを保持可能な組織透明化手法」の検証実験を行うとともに、その原理となる基礎的知見を得るための解析を進めた。また、これまでの解析では頭蓋骨から取り出した脳組織を評価していたが、この手法では髄膜構造が壊れてしまう問題点があった。この点を克服するために、化合物スクリーニングを通じて、頭蓋骨透明化技術を新たに開発し、その検証実験を進めた。その成果は、現在論文投稿中である。上記の実験に加えて、全脳レベルでRNAをイメージングできる蛍光in situハイブリダイゼーション法(mFISH3D法, Murakami TC and Heintz N, bioRxiv 2022, doi: https://doi.org/10.1101/2022.11.23.517711)を導入することにも成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、新たな研究ツールを開発し、これまで明らかにされていなかった軟髄膜マクロファージの生理学的・病態生理学的役割を明らかにすることである。2023年度では、研究実施計画の通りに、研究初年度に開発した「蛍光とRNAを保持可能な組織透明化手法」の検証実験の実施に加えて、頭蓋骨透明化技術の開発に成功した。また、mFISH3D法の導入にも成功し、全脳レベルでRNAおよびタンパク質を可視化できるツールが整った。2023年度の研究を通じて、髄膜構造が保たれた状態での空間分布解析が可能になり、今後の解析に繋がる成果が得られたために、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

2023年度までに新規開発した「蛍光とRNAを保持可能な組織透明化手法」と「頭蓋骨透明化技術」を駆使して、髄膜構造が保たれた状態で、発達期や疾患モデルにおける軟髄膜マクロファージの空間分布の変化を明らかにする。加えて、軟髄膜マクロファージのマーカー分子の同定を通じて、新たな機能操作ツールの確立を試みることを計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Visualization of spatial distribution of meningeal macrophage by using tissue clearing method2024

    • 著者名/発表者名
      内田仁司、田井中一貴
    • 学会等名
      第13回 生理研‐ヒト進化センター‐脳研 合同シンポジウム
  • [学会発表] 組織透明化・染色による髄膜性マクロファージの空間配置の性格付け2023

    • 著者名/発表者名
      内田仁司、他田真理、柿田明美、田井中一貴
    • 学会等名
      第64回日本神経病理学会総会学術研究会/第66回日本神経化学会大会 合同大会
  • [学会発表] 脳における髄膜性マクロファージの三次元解析2023

    • 著者名/発表者名
      内田仁司、田井中一貴
    • 学会等名
      日本解剖学会 第111回 関東支部学術集会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi