研究課題/領域番号 |
22K06453
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究 |
研究代表者 |
木村 有希子 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 助教 (70581122)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 神経回路 / 胸びれ / ゼブラフィッシュ |
研究実績の概要 |
脊椎動物の付属肢は移動運動に大きな役割を果たす。四足動物の歩行では、四肢を一定のリズムやパターンで動かして移動する。このリズムやパターンは脊髄に存在する神経回路によって生成されるが、その回路の詳細は分かっていない。歩行運動の回路が複雑で、実験操作も困難なためである。魚類の胸びれは四肢の相同器官であり、四肢と類似だが、よりシンプルな運動をする。そのため、胸びれのリズム運動を制御する神経回路は、歩行回路と共通性が高いがより単純と考えられ、歩行制御の原型的な仕組みを持つことが期待される。しかし、胸びれ運動を制御する神経回路は、ほとんど調べられていない。本研究では、単純な神経回路を持ち、実験操作がしやすいゼブラフィッシュ仔魚を用いて胸びれのリズム運動を制御する脊髄神経回路を明らかにすることを目的とする。 本年度は胸びれ運動ニューロンに直接シナプス結合して、胸びれ運動ニューロンのリズミックな活動を制御する抑制性ニューロンの探索を行った。カルシウムイメージングにより、胸びれ運動中に活動する数種類の抑制性の脊髄介在ニューロンを同定し、解析候補ニューロンとした。これらのニューロンの発火パターンを調べ、それぞれのタイプのニューロンが胸びれの内転筋運動ニューロン、外転筋運動ニューロンのどちらに結合する可能性が高いか推定した。これらのニューロンが胸びれ運動ニューロンの活動制御に実際に関わり、どのような役割を果たすか明らかにするために、これらのニューロンの遺伝学的除去や光遺伝学的操作が可能になる遺伝子組換え魚を作製した。次年度にこれらの魚を使用して胸びれ運動に関わる脊髄抑制性ニューロンの解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初使用を想定していた遺伝子組み換え魚で、レポーター遺伝子の発現が弱かったため、遺伝子組み換え魚の作製方法を変更して魚を作り直した。そのため、若干の計画の遅れがあるが、概ね順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に作製した遺伝子組み換え魚を使用して、解析候補となっている抑制性脊髄ニューロンの胸びれ運動における働きを調べる。具体的には、光遺伝学的操作により、解析候補の抑制性ニューロンが胸びれ運動ニューロンに直接結合をするのかを調べる。また、解析候補ニューロンを遺伝学的除去して、胸びれ運動ニューロンへの抑制性入力にどのような変化が現れ、胸びれ運動のリズムにどのような影響が起こるか調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の共同研究と同じ材料や実験装置を使うことができたため、支出を抑えられ、次年度使用が生じている。今後は、上述の今後の研究の推進方策に従って、新しい遺伝子組み換え魚の作製や電気生理学的解析に研究費を使用する。
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