研究課題/領域番号 |
22K06466
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
舟本 聡 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (10345043)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβ / 大脳皮質 / 小脳 / リンパ節 / クリアランス |
研究実績の概要 |
加齢によるAb42排出の影響を調べるために、2ヶ月齢と15ヶ月齢マウスの大脳皮質と小脳にHilyte Fluor-555標識Ab42を定位注入し、スライス標本での観察を行った。その結果、これらのマウス間で、大脳皮質と小脳に注入した蛍光標識Ab42分布域の差は認めらず、小脳についてはいずれの月齢のマウスでもAb42の拡散と排出が顕著だった。しかし、高齢マウスの検体数が十分ではないので、引き続き検討を重ねる予定である。 これまで、脳領域のAbの拡散や排出の観察はAb42に限定していたが、これまで得られた知見がAb特有の拡散や排出の違いか否かを検討するために、Ab42の対照として、そのアミノ酸配列をランダムにしたAb42(FAM標識スクランブルAb42)についても検討した。その結果、大脳皮質に注入した場合よりも、小脳に注入した方がわずかにFAM標識スクランブルAb42の拡散が速い傾向が見られたものの、大脳皮質と小脳の双方でFAM標識スクランブルAb42注入後2時間で拡散のピークを迎え、その後は同程度に拡散域が減弱していた。この観察結果は、小脳でAb42の拡散と排出が盛んなのは、アミノ酸組成よりもアミノ酸配列に依存することを示唆している。 次にAb拡散や排出について、Ab分子種の違いについて検討した。これには、Hilyte Fluor-555標識Ab40を大脳皮質と小脳に定位注入して、Ab42での知見と比較した。その結果、Hilyte Fluor-555標識Ab40の場合でも、小脳では拡散が大脳皮質の5倍ほど速く、3日目には顕著に減弱していた。ただし、Hilyte Fluor-555標識Ab40の場合は、Hilyte Fluor-555標識Ab42を注入した場合よりも拡散や排出の程度は顕著ではなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
事前の準備が整っており、実験スキルが安定していたことが理由としてあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
高齢マウスでのAb42の拡散や排出を再度検討する。合成Abを注入すると注入箇所から漏れ出たAbを追跡している可能性も否定できないため、今後はアデノ随伴ウイルスで中枢神経特異的にAb42を産生させて、その拡散や排出について評価する予定である。
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