研究課題/領域番号 |
22K06474
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
鬼丸 洋 昭和大学, 医学部, 客員教授 (30177258)
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研究分担者 |
池田 啓子 昭和大学, 歯学部, 客員教授 (10265241)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 低酸素応答 / Phox2b / チロシン水酸化酵素 / 吻側腹外側延髄 / アストロサイト / ATP受容体 / NOX |
研究実績の概要 |
これまでの研究で,新生児ラット摘出脳幹-脊髄標本を用いて,延髄吻側腹外側部の呼吸・循環関連ニューロンから細胞内記録を行い,低酸素および高二酸化炭素刺激に対する膜電位応答をTTX存在下で調べてきた.その結果,Phox2b+/TH+ニューロン(いわゆるC1アドレナリンニューロン)は低酸素刺激に対し,脱分極を示したが,高二酸化炭素刺激には応答しなかった.これらの実験はTTX存在下で行われたので,その細胞の内因性応答を示すと考えられるが,周囲のアストロサイトが低酸素に直接反応(TTX非依存性,Ca2+依存性)し,その結果アストロサイトから放出されたATPがP2受容体を介して,ニューロンに作用するという可能性も考えられた.そこで2022年度は主に,ATPあるいはグルタミン酸などのグリオトランスミッターの受容体ブロッカーの存在下(いわゆるカクテルブロッカー溶液)でのPhox2b+/TH+ニューロンの低酸素応答を調べた. カクテルブロッカー溶液:P2プリン作動性受容体アンタゴニスト, PPADS (5 μM); P2Y1 アンタゴニスト, MRS2179 (10 μM); P2X and P2Y プリン作動性アンタゴニスト, Suramin (100 μM);グルタミン酸受容体アンタゴニスト,CNQX (10 μM);NMDA受容体アンタゴニスト,MK-801 (10 μM);TTX (0.5μM) その結果,Phox2b+/TH+ニューロンはカクテルブロッカー存在下でも低酸素刺激に対し,有意な脱分極応答を示すことが明らかになった.この結果は,Phox2b+/TH+ニューロン(いわゆるC1アドレナリンニューロン)が中枢性低酸素受容器の1つである可能性を示している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね,予定通りに進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
C1アドレナリンニューロンは吻側延髄の腹側部にクラスターを形成している.これらの細胞集団が実際に低酸素刺激にどのように応答するのかをカルシウムイメージングを用いて明らかにする.また,低酸素受容におけるNOXカスケードの関与についても検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年3月の日本生理学会に出席した際の旅費などを,2023年4月以降に科研費の使用が可能になり次第,処理する予定である.
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