研究課題/領域番号 |
22K06481
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田尾 賢太郎 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (10708481)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 神経生理学 / 社会性記憶 / 腹側海馬 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、シリコンプローブをもちいた多細胞同時電気生理記録により、多様な感覚モダリティに由来する社会性情報入力に対して腹側海馬神経細胞の集団的活動がどのように組織化されているのか検証することである。 2022年度は、通常の社会性記憶弁別課題を改変し、刺激マウスを透明アクリル製のケースに収容したものを視覚刺激として、また刺激マウスと同系統のマウスより採取した尿を嗅覚刺激として、それぞれ提示する新規の実験系を確立した。並行して、より多くの細胞から神経活動を記録するために記録部位を128チャンネル持つ新規のシリコンプローブを導入し、効率的に使用・回収するための治具一式を設計した。さらに、先行製品と比較してより多数の神経細胞から同時に電気的活動が記録可能であるという新規シリコンプローブの特性を活用するため、馴化させた4匹(2系統×性別)の刺激マウスと相互作用させる新規の社会性行動課題を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していたモダリティ選択的な社会性記憶弁別課題にくわえて、最大4匹の刺激マウスと相互作用する実験系を新規に確立した点、また新規のシリコンプローブ記録系を確立した点において、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに6例の実験データを取得しており、本年度は以下の点に着目して行動および電気生理学データ解析に従事する予定である。 ・社会性記憶細胞は、馴化他個体の視覚または嗅覚刺激のみが与えられたときどのような応答を示すのか ・モダリティ選択的な応答と局所場電位の位相・振幅・振動数に関係性はあるのか ・課題前後の休息中に社会性記憶細胞の神経活動はどのように組織化されているのか
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に購入した少額備品をスペック変更のため返品・再購入したことにより、予算の付け替え処理と差額が発生した。当該助成金は次年度の物品費として使用する。
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