研究課題/領域番号 |
22K06488
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
籾山 俊彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20230055)
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研究分担者 |
鈴木 江津子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60424313)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 線条体 / パーキンソン病 / iPS細胞 / ドーパミン |
研究実績の概要 |
大脳基底核はパーキンソン病等の運動障害性疾患と密接に関与している。大脳基底核の線条体を構成する中型有棘ニューロンは直接路および間接路という2種の神経回路を構成するサブタイプから成る。本課題では、線条体のニューロンおよびシナプスに傷害が加えられた場合の再生過程における2つの回路の特異的機能を明らかにすることを目的として電気生理および行動の視点から総合的に解析する。本年度は、以前確立したパーキンソン病モデルラットをもとに、パーキンソン病モデルマウスの作製方法の確立を目指した。ドーパミン作動性神経細胞破壊のために6-ヒドロキシドーパミンを注入する脳領域、注入量などの検討を行い、パーキンソン病モデルマウスを再現よく得ることができた。またパーキンソン病モデルマウスの線条体にヒト由来iPS細胞を移植し、パーキンソン病モデルマウスで見られるアンフェタミン誘発回転行動の改善が認められるか検討した。移植8週間目において回転行動の改善は見られず、スライス標本を用いて移植細胞の形態を観察したところ、未熟な状態であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、パーキンソン病モデルマウス作製方法の確立を目指した。アンフェタミン誘導回転行動によりパーキンソン病モデルマウスの妥当性を検討した結果、概ね再現性のあるモデル動物を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
我々の先行研究では、ミニブタから得た間葉系幹細胞の移植8週目にはパーキンソン病モデルラットにおいてアンフェタミン誘導回転行動の改善が認められたが、ヒト由来iPS細胞移植8週間目ではパーキンソン病モデルマウスのアンフェタミン誘導回転行動の改善は見られなかった。サルをもちいた研究では、ヒト由来iPS細胞によるパーキンソン病スコアの改善には数か月かかることが報告されているため、引き続き行動観察を行う。また、mCherryが発現するヒト由来iPS細胞を使用していることから、回転行動の改善が見られた時点での移植細胞の形態観察も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
iPS細胞移植後の経過観察により、パーキンソン病モデルマウスの症状改善が見られず、引き続き長期間行動観察を継続することとなった。そのため次のiPS細胞移植を行うに至らず、使用を予定していたiPS細胞の輸送費・試薬代が未使用となった。
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