研究課題/領域番号 |
22K06498
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
矢倉 隆之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (70220126)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 触媒 / 多様性 / 重層的 / 連続反応 / 創薬 / SDGs |
研究実績の概要 |
薬学分野でのSDGs達成のためのグリーンケミストリーの推進に向け,「環境調和型」で「簡便な」ロジウム触媒反応の新規反応を開発して触媒の多様性を広げ,反応の重奏化による連続反応の開発,さらに天然物合成・創薬化学へ展開することを目的とする。 本目的に向け,次の研究を行った。 1)N-イリド形成転位反応の位置および立体選択性の制御と2,2-二置換窒素環構築:2位に種々のアルキル置換基を持つ2-(N,N―ジアリルアミノエチル ジアゾアセトアセタートの2価の銅触媒を用いるN-イリド形成転位反応は速やかに進行し,N-イリドの生成後アリル基が転位したモルホリン生成物が得られたが,生成物はモルホリン3,5位の立体異性体の混合物であり,立体選択性はほとんど見られず,ほぼ1対1であった。4位に種々のアルキル置換基を持つ4-(N,N―ジアリルアミノ―1-ジアゾ-2-オキソブタンの合成は基質展開性が低く,現在多様な基質合成への展開を検討中である。 2)2 価ロジウムの多様反応性を利用した連続触媒反応の開発と創薬化学的生物活性天然物の合成:分子内にO-アリル基とスルファメート基を持つジアゾ化合物を酢酸ロジウム(II)と反応させたのち,ジアセトキシヨードベンゼンを反応系に加えると,2 価ロジウムが重層的に働き,まずはロジウム触媒O-イリド形成転位反応が進行し,さらにジアセトキシヨードベンゼンと残存する2 価ロジウムにより発生したニトレノイドによるロジウム触媒N-H挿入反応が連続的に進行し,スピロN,O-アセタール化合物が得られた。この反応を利用して,抗トリパノソーマ活性アクチノアロリドAのフラン環部の合成をおこなった。しかし,工程数が多くなったので,2 価ロジウムによるO-イリド形成転位反応とヨードアレーン触媒による酸化的開裂反応を利用した,より工程数のすくないフラン部合成を展開中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規な連続的ロジウム触媒O-イリド形成転位反応-N-H挿入反応を開発し,抗トリパノソーマ活性アクチノアロリドAのフラン幹部の合成をおこなった。また,ロジウム触媒O-イリド形成転位反応とヨードアレーン触媒酸化的開裂反応の連続使用による新規合成法の開発にめどが立ち,抗トリパノソーマ活性アクチノアロリドAのフラン環部の合成さらに全合成達成が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
ロジウム触媒O-イリド形成転位反応とヨードアレーン触媒酸化的開裂反応の連続使用による抗トリパノソーマ活性アクチノアロリドAのフラン環部の合成さらに全合成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年1月に発生した能登半島地震の影響で1月の研究遂行がやや遅れたため,次年度使用額が生じた。しかし,金額はわずかであり,次年度での使用計画にはほとんど影響はないと考える。
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