研究課題/領域番号 |
22K06501
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
喜多村 徳昭 岐阜大学, 工学部, 助教 (10503659)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 核酸オリゴマー / 簡便合成 |
研究実績の概要 |
核酸オリゴマーで構成される核酸医薬は、次世代医薬品として期待されている。核酸オリゴマーはワクチンの主成分としても注目されており、新型コロナウイルス(COVID-19)の一部のワクチンで採用され、有効性が実証されている。しかし、核酸オリゴマーの従来合成法で用いられるユニット単位は酸化されやすい上、酸化体を再生して使用することはできない。また、ユニット単位の合成に手間とコストを要する。したがって、より実用的な合成法を開発する必要がある。そこで本研究では、多様性指向型合成により合成したユニット単位を用いて、わずか2種類の処理を繰り返すのみで鎖伸長が可能な、極めて効率的・実用的な核酸オリゴマーの革新的合成法(Repetitive two-step method for oligonucleotide synthesis; RTOS)の開発を目指した。 まず、RNAよりも簡便に合成可能なDNAのRTOSによる構築を目指すにあたり、DNAを構成するヌクレオシドの中で最も化学修飾が容易なチミジンのオリゴマーをモデル化合物とし、各種官能基を導入したチミジンのRTOS用ユニット単位の合成を検討した。その結果、ユニット単位の前駆体まで合成することができた。今後、ユニット単位の合成法が確立でき次第、オリゴマーの構築を目指す予定である。ユニット単位の多様性指向型合成法の開発も併せて進めており、本手法の確立により、核酸オリゴマー合成コストの大幅削減を実現でき、より迅速な核酸医薬開発が可能になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RTOSに必要な各種官能基を導入したチミジンのユニット単位の合成を検討した結果、ユニット単位の前駆体まで合成することができたものの、ユニット単位の連結に関わる官能基を導入する際に反応が複雑に進行し、当初設計したチミジン誘導体ではRTOSの開発が困難であることが判明した。そこでユニット単位の構造を改めて検討し、合成を進めている。そのため予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
RTOSの開発で鍵となるユニット単位の合成法が確立でき次第、ユニット単位の連結によるオリゴマーの構築を目指す。ユニット単位となり得るチミジン誘導体を複数設計し、並行して合成を検討することにより、本研究課題を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本研究課題で鍵となる化合物の合成において、効率的な手法を見出すことができ、当初予定していた物品の購入などが不要となったため、次年度使用額が生じた。
(使用計画)引き続き行うユニット単位の合成ならびにそれらを用いた革新的核酸オリゴマー合成法(RTOS)の開発に充てる。また、研究成果の一部を学会で発表する予定であり、出張の費用として使用する。
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