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2022 年度 実施状況報告書

ジアステレオ選択的ケタール化反応の選択性発現機構解明と有機合成化学的応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K06511
研究機関武蔵野大学

研究代表者

廣谷 功  武蔵野大学, 薬学部, 教授 (70192721)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードケタール / ジアステレオ選択性 / 分子内反応 / 有機合成化学 / アルカロイド
研究実績の概要

(1) 2,2-二置換-1,3-シクロヘキサンジオン誘導体のジアステレオ選択的ケタール化反応による特異な生物活性を有するアルカロイド類の不斉合成研究
ジアステレオ選択的分子内ケタール化反応による不斉第四級炭素構築法を抗ウィルス作用や抗マラリア作用のような生物活性をもつ (+)-mesembrane および (-)-amabiline のような多環性アルカロイド類の不斉合成に適用とした.
まず,(+)-mesembrane の不斉合成の検討を行った.4-iodo-1,2-dimethoxybenzene と 1,3-cyclohexanedione を CuI 存在下にカップリングし,さらに C2 位に Pd(PPh3)4 を触媒として 4-methoxycarbonyl cinnamyl 単位を導入した.さらに,AD-mix-a を用いる反応,引き続く分子内ケタール化反応では,89%e.e. の光学純度,99% 以上のジアステレオ選択性で生成物を得ることに成功した.続いて,カルボニル基をトシルヒドラゾンに変換し,NaH を用いる Shapiro オレフィン化反応によりアルケンに変換した.現在までのところ,(1) ケタールの部分加水分解,(2) ヘミケタールと平衡関係にあるジオールの酸化的開裂,(3) 二重還元的アミノ化反応により,(+)-mesembrane の基本骨格の合成に成功した.今後,N-メチル化とアルケンの還元により不斉全合成を達成する予定である.
(2) 2,2-二置換シクロペンタンジオン誘導体のジアステレオ選択的ケタール化反応
2位にアルキル基と不斉炭素を有する側鎖をもつ1,3-シクロペンタンジオン誘導体についても検討を開始し,高いジアステレオ選択性で分子内ケタール化反応が進行することを確かめた.一般性の有無や合成科学的な応用について検討を行う予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度は,コロナ禍の影響により,研究の円滑な進行が妨げられたことがやや遅れていることの主な原因である.
(-)-amabiline の合成に関する研究遂行にあたっては,原料として 1,3-benzodioxole を用いて (+)-mesembrane 合成と同様の合成経路で検討を行ってきた.しかし,合成途中の化合物の性質は,(+)-mesembrane の合成の際に合成した化合物とは大きく異なっており,特に有機溶媒への溶解性が著しく減少していることが明らかとなり,この予想しなかった事態が,反応の再現性に大きく影響を与え,原因解明のために多くの時間を割くことになった.現在,不斉ジヒドロキシル化反応の最適反応条件を検討中である.

今後の研究の推進方策

より単純な構造をもつ (+)-mesembrane の不斉全合成は,もうすぐ完成予定である.同様な合成経路により, (+)-mesembrane より複雑な構造をもつ (-)-amabiline の合成研究にも着手しているが,わずかな構造の違いにより,化合物の有機溶媒への溶解度が著しく変化し,化合物の取り扱いが,予想以上に困難であった.
最も重要な段階である不斉ジヒドロキシル化反応も反応速度,時間,および化学収率の再現性が極めて低く,その原因がこれまでの研究により最適化した溶媒への溶解性が異なるためであることが理由であることが分かった.今後は,用いる溶媒系を検討しながら合成を進める予定である.
一方,1,3-シクロペンタンジオン誘導体を用いる検討は概ね良好な結果を得ることができており,今後は反応の一般性の確認と合成化学的応用について検討を行う予定である.

次年度使用額が生じた理由

昨年度は,特に前半は,コロナ禍のために,思うように研究・実験を実施するのが困難であり,支出も大学からの予算で間に合う程度であった.
今年度になり,状況は回復しつつあるため,予算は物品費と成果発表のために使用する予定である.

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公開日: 2023-12-25  

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