研究課題/領域番号 |
22K06531
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
稲井 誠 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (20621626)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | パルメロライド / ロバタミド / マクロ環構築 |
研究実績の概要 |
マクロ環構築は,分子間反応の回避を目的に高希釈条件下で実施されるため,大量合成に不向きな反応であり,現在でもマクロライド系天然物供給の大きな足枷となっている.従って,高濃度条件下でのマクロ環構築法の開発は非常に挑戦的な課題であり,それを応用した天然物合成,誘導体化や生物活性評価に興味が持たれる.本研究では,天然物のマクロ環骨格構築法を開発するとともにv-ATPase阻害作用を有するパルメロライド類,ロバタミド類,サリシルハラミド類の合成を検討した. パルメロライド A の合成では,同程度の分子量で構成される3つのユニット(ヨードアルケン,有機スズ化合物,カルボン酸)を右田-小杉-Stille カップリング及び山口エステル化により順次連結し環化前駆体を合成した.鍵となる20員環マクロライドの構築は触媒的 Ni/Cr カップリング反応を用いることで一般的なマクロ環化反応よりも高濃度かつ高収率にて環化体を得ることに成功した.現在,パルメロライドAの全合成に向け側鎖部分の連結とエナミドの構築,脱保護を検討中である. ロバタミド A の合成では,容易に合成可能な2つのユニットを(カルボン酸,アルコール) DCC/DMAP を用いた縮合により環化前駆体へと変換した.環化反応は, パルメロライド A の合成にて確立した方法に先行して野崎-檜山-岸反応を検討し,比較的高濃度かつ中程度の選択性にて目的物が得られることを確認した.今後さらなる検討を実施する予定である. 現在,側鎖の増炭とエナミド部分の構築を検討中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パルメロライド A 及びロバタミド A に関して目的とする環化体の合成を完了しており,来年度からこれらの全合成を達成する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
パルメロライド A 及びロバタミド Aの全合成を完了するとともに,当研究室で開発した m-ニトロフェニルテトラゾールスルホン (NPT スルホン) を用いた改良 Julia-Kocienski オレフィン化反応をサリシルハラミド 類の全合成に応用する計画である. 実際の合成研究では,改良 Julia-Kocienski オレフィン化反応を用いてマクロ環構築を検討する.本改良 J-K 反応を用いたマクロ環構築は,前例がなく,溶媒,塩基,反応温度等を広範囲なスクリーニングを実施し,高幾何異選択的かつ高収率な一般性の高いマクロ環化反応条件を見出す計画である.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,大学公費による分析機器の購入などのサポートにより予想より支出が抑えられた.次年度はガラス器具の購入や合成用試薬・分離用担体の購入に充てる予定である.
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