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2023 年度 実施状況報告書

側鎖構造をもつ新規ポリアミン型オリゴマーの固相合成と標的核酸との選択的結合

研究課題

研究課題/領域番号 22K06532
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

梅澤 直樹  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (40347422)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードポリアミン / 固相合成 / 核酸
研究実績の概要

現在用いられている低分子医薬の大半は、タンパク質を標的としており、核酸は医薬品開発のターゲットとして十分に活用されていない。本研究の目的は、①複数の側鎖構造をもつ新規ポリアミン型オリゴマーの固相合成法を確立し、②標的DNA/RNAと選択的かつ強く結合できる低分子を創製することである。
ポリアミンはアミノ基を複数もつ脂肪族炭化水素の総称である。スペルミンなどのポリアミンは細胞内に高濃度で存在し、細胞増殖に必須であることが知られている。ポリアミンがもつアミノ基は中性条件でプロトン化されて正電荷をもつため、負電荷をもつ核酸などの生体分子と相互作用できる。筆者はこれまでに複数のポリアミン誘導体を合成し、核酸との相互作用を検討してきた。得られた知見から、ポリアミンに側鎖構造を導入することで、目的とする機能を付与できるのではないか着想した。
2023年度も2022年度に引き続き、ポリアミン固相合成法の開発を進めた。2022年度までに、市販の試薬のみを用いて固相上で第三級アミンを構築することに成功したが、収率に問題があった。また、マニュアルで試薬の添加や固相の洗浄操作を行っているため、合成に時間がかかるという問題があった。2023年度は、これらの問題点の克服をめざし研究を進めた。特に、自動ペプチド固相合成機を用いた自動合成を中心に検討した。だが、化学的には難しい反応ではないと考えられるものの、側鎖構造をもつポリアミン型オリゴマーの自動固相合成は非常に困難であることが明らかとなった。さまざまな反応条件を検討したが、現時点では、成功に至っていない。筆者が保有しているペプチド自動合成機に加え、複数のペプチド自動合成機をデモで使用したが、良好な結果は得られなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究で標的としている「第三級アミノ基をもつポリアミン誘導体」の固相合成が可能になりつつあるが、反応時間や収率等に問題を残している。ペプチド自動合成機を用いた検討を精力的に進めてきたが成功には至っていない。そのため、研究の進捗状況はやや遅れていると評価した。

今後の研究の推進方策

昨年度までの検討より、市販の試薬のみを用いて標的分子を自動固相合成することが困難であることが明らかとなった。今年度は、以下の2つの方法を検討する。
1)マニュアル固相合成では、市販の試薬のみを用いた標的分子合成に成功している。これまでに見出した反応条件を基盤に、マニュアルでの固相合成を進める。
2)現在の固相合成は工程数が多く、多種類の試薬、溶媒を使用する必要がある。そのため、自動合成のプログラム及び試薬の準備が複雑になる傾向があった。そこで、単純なモノマーを事前に液相合成しておき、自動合成機が得意とする脱水縮合反応と還元反応のみを固相上で実施する。自動合成機で実施する反応をシンプルにすることで、自動合成が可能になるか検証する。
上記検討を進めることで、標的分子を効率的に創出し、核酸との相互作用の検討を進める。

次年度使用額が生じた理由

ペプチド自動合成機を用いた、ポリアミン型オリゴマーの合成に遅れが生じており、2023年度に着手する予定であった核酸との相互作用検討に着手できなかった。そのため次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせて、ポリアミン型オリゴマー合成に必要となる試薬・溶媒類や活性評価に必要な核酸類の購入費用とし、効率よく利用する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (9件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Delivery of external proteins into the cytoplasm using protein capsules modified with IgG on the surface, created from the amphiphilic two helix-bundle protein OLE-ZIP2024

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Kousuke、Nishiyama Taiki、Umezawa Naoki、Inoue Yasumichi、Akiba Isamu、Dewa Takehisa、Ikeda Atsushi、Mizuno Toshihisa
    • 雑誌名

      Chemical Communications

      巻: 60 ページ: 968~971

    • DOI

      10.1039/D3CC05347D

  • [学会発表] 4-アミノキノリン部位を有する双頭型両親媒性分子の自己集合によるナノ構造体の構築2023

    • 著者名/発表者名
      鳥山 剛、久松 洋介、梅澤 直樹
    • 学会等名
      第69回日本薬学会東海支部大会
  • [学会発表] 双頭型両親媒性4-アミノキノリン誘導体からなる分子集合体の構築2023

    • 著者名/発表者名
      鳥山 剛、久松 洋介、梅澤 直樹
    • 学会等名
      生体機能関連化学部会若手の会 第34回サマースクール
  • [学会発表] 一時的環状化による生物活性ペプチドの活性制御と細胞内タンパク質間相互作用阻害に向けた取り組み2023

    • 著者名/発表者名
      荒川 主真、加藤 舞子、井上 靖道、林 秀敏、久松 洋介、梅澤 直樹
    • 学会等名
      生体機能関連化学部会若手の会 第34回サマースクール
  • [学会発表] 細胞内でp53/MDM2タンパク質間相互作用を阻害するペプチド性分子の開発2023

    • 著者名/発表者名
      荒川 主真, 加藤 舞子, 井上 靖道, 林 秀敏, 久松 洋介, 梅澤 直樹
    • 学会等名
      第40回メディシナルケミストリーシンポジウム
  • [学会発表] シトクロムP450ミミクスによるプロスタグランジンH2の12-HHTへのin vitro変換2023

    • 著者名/発表者名
      樋口 恒彦, 都築 優斗, 久松 洋介, 梅澤 直樹, 劉 珉, 佐伯 和子, 横溝 岳彦
    • 学会等名
      第40回メディシナルケミストリーシンポジウム
  • [学会発表] 可逆的共有結合を用いたペプチド立体構造制御と機能創出2023

    • 著者名/発表者名
      梅澤 直樹
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会(2024)併催シンポジウム (JST)さきがけ「自在配列」領域 公開シンポジウム
  • [学会発表] 両親媒性4-アミノキノリン誘導体の温度応答性自己集合挙動の評価:多孔性ベシクルとナノファイバーの選択的構築2023

    • 著者名/発表者名
      久松 洋介、鳥山 剛、山本 勝宏、梅澤 直樹
    • 学会等名
      日本薬学会第144春季年会
  • [学会発表] 細胞内p53/MDM2タンパク質間相互作用を阻害する還元環境応答型ペプチドの開発2023

    • 著者名/発表者名
      荒川 主真、加藤 舞子、井上 靖道、林 秀敏、久松 洋介、梅澤 直樹
    • 学会等名
      日本薬学会第144春季年会
  • [学会発表] 4-アミノキノリン部位を有する双頭型両親媒性分子の自己集合により構築されるナノ構造体の構造制御2023

    • 著者名/発表者名
      鳥山 剛、久松 洋介、梅澤 直樹
    • 学会等名
      日本薬学会第144春季年会
  • [産業財産権] 環状ペプチド化合物及びその製造方法、並びにリンカー化合物2024

    • 発明者名
      梅澤 直樹
    • 権利者名
      公立大学法人名古屋市立大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2024-040359

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公開日: 2024-12-25  

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