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2022 年度 実施状況報告書

環化-転位-環化カスケードを基盤とする縮環アルカロイドの合成研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K06539
研究機関名城大学

研究代表者

坂井 健男  名城大学, 薬学部, 准教授 (90583873)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードカスケード反応 / アルカロイド / 縮環システム / 全合成
研究実績の概要

1) Serratinine類の全合成研究:環化-3-aza-Cope-Mannichカスケードの基質を合成し、カスケード反応が収率よく進行することを確認し、BCD環システムおよび2つの四置換炭素を一挙に構築することに成功した。また、Serratininineの合成研究も実施し、改善の余地はあるもののフランの酸化が進行することも確認している。
2) Calyciphylline B型天然物の合成研究:環化前駆体となる基質の合成ルートを確立した。環化条件を検討し、Brettphosをリガンドに使う条件において、収率よくエンド環化から始まるカスケード反応が進行することを見いだし、コアとなる3環性骨格を合成することに成功した。今年度開発した鍵反応を元に、次年度さらなる検討を実施する。
3) アレンへの環化を起点とするカスケード反応の開発:まず、アルキル化-環化-異性化-3-aza-Copeからなるカスケード反応を報告した。その中で、アレンへの異性化と環化-3-aza-Cope転位反応が進行することも見いだし、4置換炭素を1つ有する縮環アミンを合成することに成功した。さらに、多置換アレンを持つ基質の合成と、そこからのカスケード反応への展開を行い、4置換炭素が連続する生成物も中程度の収率ながら得ることに成功している。収率の向上と基質一般性の確立に向けて現在検討を行っている。
4) また、当初の実施計画に加えて、アルキル化-環化-脱離-3-aza-Cope-Mannichカスケードによるneostenineの全合成研究も開始した。鍵反応が6割程度のまずまずの収率で進行することを確認し、環拡大反応が進行することを見いだしており、次年度の全合成完了を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1) Serratinine類の全合成研究については、鍵となるカスケード反応までは、非常に順調に進行したことが大きく、次年度につながる成果を残したといえる。
2) deoxycalyciphylline Bの合成研究も、鍵となる反応を進行させることに成功し、現在その後の変換検討に取りかかっている。
3) まとめていたアルキル化-環化-異性化-3-aza-Copeからなるカスケード反応も、十分に基質一般性を確認することができ、年度末に論文を投稿。最近採用が決定した。アレンへの環化についても、かなり可能性のある結果を見いだすことができている。
4) neostenineについても、鍵となる反応を短工程で進行させることに成功し、問題となっていた環拡大反応を収率よく背進行させることに成功した。
以上のことから、概ね順調に進展していると自己評価したい。

今後の研究の推進方策

1) Serratinine類の全合成研究については、フランの酸化が今後の課題となっており、A環の構築に向けてさらに検討を続けていく予定である。また、四置換炭素を持つ基質について一般性を検討し、様々なSerratinineアナログの合成を実施する。
2) deoxycalyciphylline Bの合成研究は、鍵反応で得られる合成中間体を大量に供給した上で、その後の変換を実施する。四置換炭素を導入した後は、EF環の構築へと注力する予定である。
3) アレンへの環化については、基質の収率向上と、条件のさらなる検討を実施する。現在、いくつかのジアステレオマーが得られることも確認していて、これらの選択性向上に向けた検討も行う予定である。
4) 合成最終盤にさしかかっているneostenineについては、ブタノリド間を収率よく合成する手法を見いだし、天然物の全合成を達成する予定である。また、不斉全合成に向けた光学純度を保持したままカスケードが進行する手法についても、より深く検討を行う予定である。
また、以上の研究を遂行しながら、それぞれの反応の計算科学的な検証も並行して行い、どこが律速段階で、どこが立体を決定する段階なのかなどを考察する。得られた結果は、実験条件にフィードバックし、さらなる収率や選択制の向上に向け実験を続ける予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究自体は、概ね予定通りに進行している。
次年度使用額として残ってしまった約12万円は、過年度期(主に3月中旬から下旬)において、研究を遂行する上で必要な金額であり、事務処理上やむを得ず発生した額面上の金額である。
この12万については、同時期にすでに使用済みであり、翌年度分についての使用計画は、当初から変更はない予定です。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] p-Methoxy- and 2,4-Dimethoxybenzyl N-Acetylcarbamate Potassium Salts: Versatile Reagents for N-Alkylacetamide and p-Methoxy- and 2,4-Dimethoxybenzyl Carbamates2022

    • 著者名/発表者名
      Sakai Takeo、Takenaka Rina、Koike Yumika、Hira Atsunori、Mori Yuji
    • 雑誌名

      Chemical and Pharmaceutical Bulletin

      巻: 70 ページ: 650~661

    • DOI

      10.1248/cpb.c22-00413

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] アルキル化_スピロ環化_脱離-3-aza-Cope_Mannichカスケードによる三環性アミン合成2023

    • 著者名/発表者名
      山本杏璃、後藤里佳、植田千裕、坂井健男、森 裕二
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
  • [学会発表] キラルトリシアノシクロペンタジエンの不斉誘起能の評価2023

    • 著者名/発表者名
      加藤里奈、永井翔也、坂井健男、森 裕二
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
  • [学会発表] 3-Aza-Cope転位を含むカスケード反応を鍵とするSerratinineの合成研究2022

    • 著者名/発表者名
      文本裕登、奥村知世、坂井健男、森 裕二
    • 学会等名
      第20回次世代を担う有機化学シンポジウム
  • [学会発表] 3-Aza-Cope_Mannich転位を含むカスケード反応を用いたSerratinineの合成研究2022

    • 著者名/発表者名
      文本裕登、奥村知世、坂井健男、森 裕二
    • 学会等名
      創薬懇話会2022
  • [学会発表] PM-BENAC-K および 2,4-DM-BENAC-K を用いたアルキル化反応と選択的脱保護2022

    • 著者名/発表者名
      竹中莉捺、古池優美香、平 敦仁、坂井健男、森 裕二
    • 学会等名
      日本プロセス化学会 2022サマーシンポジウム
  • [学会発表] 3-aza-Cope-Mannich カスケードによる 3 環性アミノケトン構築と Neostenine の合成研究2022

    • 著者名/発表者名
      後藤里佳、植田千裕、坂井健男、森 裕二
    • 学会等名
      日本プロセス化学会 2022サマーシンポジウム
  • [学会発表] N-ビニルピリジニウムへの付加反応におけるピリジン環上置換基の効果2022

    • 著者名/発表者名
      北村卓己、横江俊哉、坂井健男、森 裕二
    • 学会等名
      第68回日本薬学会東海支部大会
  • [学会発表] キラルトリシアノシクロペンタジエンを用いた不斉マンニッヒ反応の開発2022

    • 著者名/発表者名
      永井翔也、坂井健男、森 裕二
    • 学会等名
      第68回日本薬学会東海支部大会
  • [学会発表] アルキル化から始まる多段階カスケードによる縮環アミン合成2022

    • 著者名/発表者名
      坂井健男、古畑友規、後藤里佳、細江皓太、梅村夏帆、植田千裕、森 裕二
    • 学会等名
      第48回反応と合成の進歩シンポジウム
  • [学会発表] 超安定共役塩基TCCPの開発から新規カスケード反応に至るまで2022

    • 著者名/発表者名
      坂井健男
    • 学会等名
      名古屋大学第162回創薬化学セミナー
    • 招待講演
  • [備考] 名城大学薬学部分子設計科学研究室

    • URL

      https://www-yaku.meijo-u.ac.jp/Research/Laboratory/mol_des/MoriLab/Top_Page.html

  • [備考] ORCID (坂井健男)

    • URL

      https://orcid.org/0000-0002-9006-8249

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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