研究課題/領域番号 |
22K06545
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
植田 圭祐 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (40755972)
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研究分担者 |
東 顕二郎 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (40451760)
森部 久仁一 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (50266350)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 薬物濃縮相 / 液-液相分離 / 脂質ナノ粒子 / 過飽和 / Cryo-TEM |
研究実績の概要 |
令和4年度はまず初めに脂質ナノ粒子製剤の組成検討を行い、脂質ナノ粒子への薬物封入及び薬物濃縮相形成評価を行った。脂質ナノ粒子を構成するOilとしてLabrafacTM PG (PG)及びLabrafil M1944 CS (M1944)を用いて脂質製剤をそれぞれ調製した。各脂質製剤に難水溶性のモデル薬物としてfenofibrate (FFB)を溶解させFFBを封入脂質製剤を調製した。各薬物封入脂質製剤をHPMC溶液(PBS pH6.8)に分散させ、Oilの種類及び濃度が異なるエマルションを調製した。Oilを含まないミセル溶液及びoil濃度0.02%、0.1%の各エマルションについてcryo-TEM測定を行った結果、ミセル溶液、oil濃度0.02%、0.1%のPGエマルション並びにoil濃度0.02%のM1944エマルションにおいて、直径50 nm以上の比較的大きな粒子と直径20 nm以下の小さな球形粒子がそれぞれ認められた。直径50 nm以上の比較的大きな粒子はFFB濃縮相に、直径20 nm以下の小さな球形粒子はエマルションドロップレットにそれぞれ由来すると考察した。よって、これらのミセル溶液及びエマルションではFFB濃縮相が形成され、さらに薬物濃縮相とミセル及びエマルションドロップレットが共存することが示された。一方、oil濃度0.1%のM1944エマルションではFFB濃縮相に由来すると考えられる大きな粒子の存在は認められなかった。この結果より、oil濃度0.1%のM1944エマルションにおいてはFFB濃縮相は形成されず、FFB非晶質溶解度が顕著に上昇していることが示された。以上の結果より、脂質製剤に用いるoil種及びoil含量を調整することで薬物濃縮相共存型の脂質ナノ粒子製剤が調製可能であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した薬物濃縮相形成型の脂質ナノ粒子製剤の調製まで終えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は薬物濃縮相及びエマルションドロップレット間の薬物分配挙動をNMRを中心とした物性評価を用いて定量的に評価する予定である。
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