研究課題/領域番号 |
22K06546
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
水口 峰之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (30332662)
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研究分担者 |
帯田 孝之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (30578696)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ZCCHC3 / cGAS / タンパク質 / 自然免疫 / DNA結合 / ゲルシフトアッセイ |
研究実績の概要 |
ヒトZCCHC3の大腸菌による大量発現系の構築を行った。全長ZCCHC3(1-403残基)のアミノ酸配列をコードするDNAを大腸菌用の発現ベクターに導入した。ZCCHC3は可溶化タグのLipoyl domainとの融合タンパク質として発現した。Lipoyl domainのN末端には精製用のHis-tagを付加した。Ni-NTA樹脂を用いてLipoyl domainとZCCHC3の融合タンパク質を精製し、その後TEVプロテアーゼでLipoyl domainとZCCHC3を切り離した。Lipoyl domainをNi-NTA樹脂で除去した後、ゲルろ過クロマトグラフィーでZCCHC3を精製した。LB培地800 mLの大腸菌培養液から、高純度のZCCHC3を十分量得ることに成功した。さらに、ZCCHC3の天然変性領域(1-160残基)の発現・精製にも取り組んだ。ZCCHC3の1-160残基のN末端にHis-tagを付加して大腸菌で発現し、Ni-NTA樹脂で精製したところ高純度のZCCHC3(1-160)を得ることができた。次に、ZCCHC3とDNAの相互作用をゲルシフトアッセイで調べた。その結果、天然変性領域の1-160残基フラグメントよりも全長ZCCHC3のほうがDNAに強く結合することがわかった。この実験では枯草菌由来の50 bpの二本鎖DNAを用いた。この枯草菌由来DNAは、自然免疫における重要なDNAセンサーであるcGASと複合体を形成し、cGASを活性化すると報告されている。また、cGASでもゲルシフトアッセイを行ったところ、枯草菌由来の二本鎖DNAに対する結合親和性は、ZCCHC3よりもcGASのほうが強いことが示された。さらに、ZCCHC3はHIV-1由来逆転写産物の一本鎖DNAのSL2領域と結合するが、SL2に対するZCCHC3の結合親和性は低いことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトZCCHC3の大腸菌よる大量発現系の構築に成功し、cGASを活性化することが知られている枯草菌由来二本鎖DNAやHIV-1由来一本鎖DNAとの相互作用解析を行うことができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ZCCHC3と一本鎖DNAの相互作用解析を行う。また、cGASを活性化する最小DNAモチーフとして知られているG3-Y-form DNAや、その変異DNA(C3-Y-form DNAなど)との相互作用解析にも取り組む。前年度の結果と合わせて、ZCCHC3が結合するDNAの特徴を明らかにする。さらに、ZCCHC3がcGASの酵素活性にどのような影響を与えるのかについて解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ZCCHC3の大腸菌による発現と精製が順調に進み、購入を予定していたDNAや生化学実験用試薬を購入しなかったために次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせて、ZCCHC3とDNAの相互作用解析やcGASの活性測定で使用する消耗品費として支出する計画である。また、国内の学会参加費や現在準備中の論文の英文校正費に支出予定である。
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