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2023 年度 実施状況報告書

個別化医療に向けたB7-H3糖鎖と活性化T細胞によるがん細胞認識との関係の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06549
研究機関横浜市立大学

研究代表者

高倉 大輔  横浜市立大学, 生命医科学研究科, 特任教員 (90760231)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードB7-H3 / 糖鎖 / LC/MS/MS
研究実績の概要

B7-H3は、T細胞の活性化を抑制するB7ファミリーに分類される糖タンパク質であり、多くの固形がんで過剰発現していることから、がん免疫療法における新たな治療標的分子として注目されている。B7-H3糖鎖上のフコシル化がトリプルネガティブ乳癌における予後不良との関連が指摘されているものの、部位ごとの詳細な糖鎖構造は不明であった。
昨年度は、ウェスタンブロッティング(WB)用抗体および免疫沈降(IP)用抗体を選定し、IPによるB7-H3の選択的回収条件とLC/MS/MSによるB7-H3の分析条件を最適化した。本年度はまず、B7-H3発現が認められた細胞株2種(乳がん/大腸がん)よりB7-H3をIPし、電気泳動で分離した。B7-H3の分子サイズと一致するバンドを切り出し、ゲル内消化の後LC/MS/MSを実施したところ、数種のB7-H3由来ペプチドが同定されたことから、IPによりB7-H3が選択的に回収できていることが明らかとなった。次に、IP産物をペプチド消化した後、N型糖鎖切断酵素で処理し、LC-MS/MSに供した。その結果、N91/N309、N104/N322、N215/N433の3ペア6か所が同定され、これら部位の糖鎖占有率は100%に近いことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和5年度では、がん細胞株2種からB7-H3を選択的に回収し、糖鎖付加部位を明らかにすることができたが、凍結組織検体由来B7-H3の糖鎖解析には至らなかったため。開始タンパク質量を10倍にスケールアップしIPを実施したものの、B7-H3の糖ペプチドは同定されなかった。HEK発現リコンビナントB7-H3の部位特異的糖鎖解析の結果、N91/N309、N104/N322、N215/N433の3ペア6か所の糖鎖不均一性は極めて高いことが明らかとなっており、この高い不均一性が原因であると推定される。

今後の研究の推進方策

IP産物からのB7-H3糖ペプチド濃縮法を最適化する。具体的には、B7-H3のトリプシン消化物からセルロースレジンによる糖ペプチド濃縮を試みる。LC/MS/MSによる従来法であるデータ依存的取得法(DDA法)による解析法と並行して、データ非依存的取得法(DIA法)による糖鎖解析を試みる。

次年度使用額が生じた理由

小スケールでのIP精製法が確立できたことにより、抗体関連試薬の購入が抑えられた。また、参加予定であった学会・セミナー等への参加が予定により見合された他、近隣地域での開催となったため旅費計上が抑えられた。

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公開日: 2024-12-25  

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