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2023 年度 実施状況報告書

PLGA-PEGブロックコポリマーを用いた難治性皮膚疾患治療のための経皮DDS

研究課題

研究課題/領域番号 22K06553
研究機関城西国際大学

研究代表者

竹内 一成  城西国際大学, 薬学部, 教授 (10734931)

研究分担者 西川 元也  東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (40273437)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード経皮DDS / PLGA / PEG / ナノ粒子 / シクロスポリン / アトピー性皮膚炎
研究実績の概要

令和5年度は、新規薬物担体であるPLGA-PEG-PLGA トリブロックコポリマー (PLGA-PEG-PLGA)を用いて調製したナノ粒子のアトピー性皮膚炎(AD)治療への応用可能性を調査するために、シクロスポリンA(CsA)含有PLGA-PEG-PLGAナノ粒子を調製し、ADモデルマウスを用いてその有用性の評価を行った。本ナノ粒子は、乾癬治療のためのCsA含有ナノ粒子と同様の方法で調製した。調製されたCsA含有PLGA-PEG-PLGAナノ粒子は平均粒子径約30 nmであり、透過型顕微鏡を用いた観察により均一な球状の粒子であることが確認された。ADモデルマウスより摘出した皮膚において、PLGAナノ粒子と比較して、 PLGA-PEG-PLGAナノ粒子は皮内ナノ粒子貯留量および CsA貯留量において高値を示すことが確認された。 PLGAナノ粒子は表皮における拡散が、PLGA-PEG-PLGAナノ粒子は、表皮および真皮層への拡散が認められたことから、 PLGAナノ粒子と比較して、PLGA-PEG-PLGAナノ粒子は皮内浸透性が高いと考えられる。ADモデルマウスを用いた治療実験においては、治療実験後の皮膚の外観のスコア化および切片の観察を実施した。その結果、 CsA含有PLGA-PEG-PLGAナノ粒子は、CsA単純溶液と比較して、皮膚炎スコアの低下および表皮肥厚を抑制することが示された。これは、ナノ粒子化により皮膚深部までCsAが送達されたことを示唆する。一方、PLGAナノ粒子とPLGA-PEG-PLGAナノ粒子では、皮膚炎スコアおよび表皮の厚さともに顕著な差は認められなかった。また、接触皮膚炎治療のためのステロイド含有ナノ粒子に関する研究も進めており、ナノ粒子製剤の開発に成功している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和5年度は、CsA含有ナノ粒子をADに応用する研究を進めることができた。現在までに、CsAのナノ粒子化がAD治療において有用であることが示されており、サイトカインの定量を通した、薬物担体が治療効果に与える影響に関する研究の実施を検討している。また、接触皮膚炎のうち、アレルギー性接触皮膚炎治療のためのプレドニゾロン含有ナノ粒子の調製に成功しており、その成果はすでに所属学会の年会にて発表済みである。現在は、急性アレルギー性接触皮膚炎モデルである接触皮膚炎モデルマウスを用いた治療実験を進めており、結果がまとまり次第、学術論文として発表することを予定している。

今後の研究の推進方策

令和6年度は、アレルギー性接触皮膚炎治療のためのステロイド含有ナノ粒子の開発と、疾患モデル動物を用いたその有用性の評価を行う。ナノ粒子調製には、PLGAだけでなく、すでに他の疾患において有用性が示唆されているPLGA-PEG-PLGAを用いて行う。治療効果の評価は、ELISA法を用いたサイトカインの定量を中心に実施することを計画している。

次年度使用額が生じた理由

装置故障による修理を行ったが、想定よりも費用を抑えることができた。現在、接触皮膚炎治療のための研究を進めており、次年度は動物やELISA購入などによる支出の増加が予想されるため、次年度使用額は接触皮膚炎治療研究のために使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] アレルギー性接触皮膚炎治療に対するプレドニゾロン含有経皮吸収型ナノ粒子の開発2024

    • 著者名/発表者名
      藤澤遼、押坂勇志、森健二、竹内一成、杉林堅次
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会
  • [学会発表] アミノ酸を用いたPLGAナノ粒子の粒子径制御2023

    • 著者名/発表者名
      藤澤遼、押坂勇志、森健二、竹内一成、杉林堅次
    • 学会等名
      日本油化学会第61回年会
  • [学会発表] 接触皮膚炎治療のためのPLGAナノ粒子2023

    • 著者名/発表者名
      藤澤遼、押坂勇志、森健二、竹内一成、杉林堅次
    • 学会等名
      第39回日本DDS学会学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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