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2023 年度 実施状況報告書

キネシンモーターの構造・熱分析による阻害機構の解明と抗がん剤設計

研究課題

研究課題/領域番号 22K06554
研究機関東京理科大学

研究代表者

横山 英志  東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 教授 (70433208)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードキネシン / モータータンパク質 / 結晶化 / 構造解析 / ATPアナログ
研究実績の概要

本研究では、X線結晶構造解析と熱分析(等温滴定型カロリメトリー)を主な手法として、細胞分裂期特異的なキネシンモータータンパク質であるCENP-Eとその阻害剤やATPアナログとの複合体構造を決定し、それら阻害剤による阻害の様式やATP加水分解の反応機構を解明することで、新規な抗がん剤を設計する構造基盤を得ることを目的とした。既存のタキサン、ビンカアルカロイドなどの微小管阻害剤と異なり、キネシンモーターの阻害剤は非分裂期の微小管には作用しないため、副作用の少ない抗がん剤のリード化合物として期待できる。
昨年度までに、ヒトCENP-Eのモータードメイン(C末にHis tagを付与)の大量発現と精製の手法をすでに確立しており、その手法で精製サンプルを得たのち、タンパク質発現時から含まれる内因性のヌクレオチド(ADP)を酵素apyraseを用いて加水分解して除去し、非加水分解性ATP アナログであるAMPPNPを添加した複合体の結晶化を行い、放射光施設(つくば高エネルギー加速器研究機構)での1.9 Åと高分解能でのX線回折強度データの収集、分子置換法による構造解析を行った。得られた構造では、AMPPNPの電子密度が確認できた。このAMPPNP複合体構造を既に得られているADP複合体構造と比較して構造変化を考察し、異なるファミリーのキネシンモータードメインのAMPPNNP複合体構造と比較してCENP-Eの特徴的な構造を考察して、それら構造の詳細について論文に発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1. CENP-EモータードメインとATPアナログとの複合体の構造解析を行い、論文発表を行うことができた。
2. これまでの精製手法を用いてCENP-Eモータードメインと阻害剤との複合体の結晶化を進めており、良質な結晶が得られれば構造解析を行うことができる。

今後の研究の推進方策

CENP-EモータードメインとATPアナログとの複合体の構造解析を初めて行い、論文で発表した。一方で、CENP-Eモータードメインと阻害剤との複合体構造はこれまで未解明であるため、複合体構造を初めて決定して各種阻害剤の結合様式を解明することができれば、新たな抗がん剤開発の構造基盤が得られると考えられる。CENP-Eモータードメインと阻害剤との複合体の結晶化を行うため、安定して結晶化を行うpHなどの条件検討を行い最適条件を見出したので、その条件で結晶化を行っている。結晶のX線回折強度データが得られたら構造解析を行う予定である。
さらにCENP-Eモータードメインとその阻害剤(数種)との熱分析を試みたがサンプルが凝集しやすくデータ収集ができなかった。より安定なpH条件を見出したためその条件で再度熱分析を行う予定である。これにより複合体のX線結晶構造解析だけでは得られない情報を得る予定である。

次年度使用額が生じた理由

当該年度での消耗品などの購入が当初予定より少なかったが、予定の実験を進めることができた。引き続き次年度にも消耗品などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Crystal structure of the motor domain of centromere‐associated protein E in complex with a non‐hydrolysable ATP analogue2023

    • 著者名/発表者名
      Shibuya Asuka、Suzuki Akira、Ogo Naohisa、Sawada Jun‐ichi、Asai Akira、Yokoyama Hideshi
    • 雑誌名

      FEBS Letters

      巻: 597 ページ: 1138~1148

    • DOI

      10.1002/1873-3468.14602

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Higher‐order structure formation using refined monomer structures of lipid raft markers, Stomatin, Prohibitin, Flotillin, and <scp>HflK</scp>/C‐related proteins2023

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama Hideshi、Matsui Ikuo
    • 雑誌名

      FEBS Open Bio

      巻: 13 ページ: 926~937

    • DOI

      10.1002/2211-5463.13593

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Crystallization of podocin, associated with nephrotic syndrome2023

    • 著者名/発表者名
      Koki Ando, Hideshi Yokoyama
    • 学会等名
      26th Congress and General Assembly of the International Union of Crystallography
    • 国際学会
  • [学会発表] キネシンCENP-Eモータードメインと阻害剤の複合体調製と結晶化2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木翠、渋谷明日香、小郷尚久、澤田潤一、浅井章良、荒川孝俊、横山英志
    • 学会等名
      令和5年度 日本結晶学会年会
  • [学会発表] CENP-Eモータードメインの加水分解前後の結晶構造の比較2023

    • 著者名/発表者名
      渋谷明日香、鈴木翠、小郷尚久、澤田潤一、浅井章良、横山英志
    • 学会等名
      第61回日本生物物理学会年会

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公開日: 2024-12-25  

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