研究実績の概要 |
初年度において、高速向流クロマトグラフ(HSCCC)装置の効率化及び持続可能性を目指して、基盤研究を実施した。本目的にある通り、天然活性物質(毒きのこ成分、抗生物質など)を対象とするため、本年度は異性体を含み単離精製の望まれるミルベメクチンを用いた検討を行った。HSCCC分離のため、最適な2相溶媒系を決定するため、in silico系となる実験計画で行った結果、n-hexane/ethyl acetate/methanol/water, 9/1/7/3, v/v/v/vを決定した。その後、本溶媒をHSCCCに利用し、持続可能性を目指した固定相リサイクルシステムを構築し、少なくとも5回以上の再現性を得ることができた。その際の溶媒保持率も良好な結果(88%)を得た(試料の注入量 100 mg/1回)。HSCCC分精製後、ミルベメクチンA3及びA4はいずれもHPLCによる98%以上の高純度のものが得られた(残留農薬試験法の標準品純度95%以上達成)。よって、目的である液-液分配溶媒をリサイクルできるサスティナブルな分離精製システムを構築できた。次に、脱溶媒(脱酸素)を目指した構造同定法として、off-line atmospheric pressure solid analysis probe-high resolution mass spectrometry(ASAP-MS)を用いて直接分析(移動相などの溶媒を用いない)した結果、m/z528.29及びm/z542.32が検出され、いずれもミルベメクチンA3及びA4として同定することができた。以上の研究結果より、初年度の基礎的な検討が実施されたと判断した。
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