研究課題/領域番号 |
22K06557
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
井之上 浩一 立命館大学, 薬学部, 教授 (30339519)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 高速向流クロマトグラフィー / 3Dプリンティング / 毒きのこ / 単離精製 / 抗生物質 / 質量分析 |
研究実績の概要 |
2年目では予定通り、3Dプリンティング高速向流クロマトグラフ(HSCCC)装置の開発およびその応用性について検討することとした。まず、従来のHSCCCによる毒きのこ(ツキヨタケ)からのイルジンS(毒性成分)を効率的に単離精製し、それを用いて、毒性成分の部位特異性を分析することとした。本分析には、HSCCCで単離精製したものを用いて、タンデム質量分析(MS/MS)の最適化を行い、Desorption Electrospray Ionization(DESI)を装着したMS/MS(DESI-MS/MS)によるイメージングを行った。その結果、柄の部分で7倍程度の高密度に存在していることが判明した。これによって、HSCCCの毒きのこ単離精製の応用性を十分に示すことができたと考えられる。つぎに、新たな天然活性物質の単離精製を目指して、もみ殻からのアレロパシー物質モミラクトンにHSCCCを応用した。二相溶媒系としてn-hexane/ethyl acetate/methanol/water(7/3/5/5, v/v/v/v)を最適化として、2 kgのもみ殻からモミラクトンAおよびBを3.0 mgおよび2.0 mgを高純度(99.0%および98.2%)に獲得することが達成できた。こちらはさらに効率性を向上させ、開発を目指す3DプリンティングHSCCC装置に最終年度は適用を考えている。最後に、HSCCC装置開発については、本学理工学部モノづくり拠点において、設計図が完成し、各種装置外部のパーツを加工したうえで組み立て作業となっている。また、消耗の激しいカラム部位は3Dプリンターにより作成することができ、予定通り最終年度に向けて、その運用を試みる予定である。 いずれにおいても、計画の予定通り、HSCCCの応用性、適用性、汎用性を示し、3DプリンティングHSCCC装置の開発意義を示したところで、実際の装置の構築を最終年度で完成させることができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は応用性として、毒きのこ成分の単離精製に伴う応用性、新たなもみ殻からのアレロパシー物質モミラクトンの単離精製を実施した。そのうえで、本最終目的であるた3DプリンティングHSCCC装置の開発へと発展させていくこととなる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、これまでの応用を利用して3DプリンティングHSCCC装置の組み立て(すでに、設計図、各種部品、3Dプリンティングは構築済み)を行い、従来の装置との比較検討を行う。それをもって、本研究目的が達成できたと判断できる。
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