研究課題/領域番号 |
22K06578
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小野口 玲菜 東京大学, アイソトープ総合センター, 特任助教 (30780697)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 非コードRNA / 核内構造体 / 熱ストレス |
研究実績の概要 |
外的環境の変化を感知し、適切に応答することは生物の生存において必要不可欠である。近年、ストレス応答において液-液相分離現象に基づいて形成される非膜性のRNA-protein構造体(RNP構造体)が重要な役割を果たすという概念が生まれつつある。 このような背景の中で、申請者は核内RNP構造体の主要な構成因子である非コードRNAとストレス応答の関連について研究を進めてきた。その過程で「通常は核スペックルと呼ばれる核内構造体に局在する非コードRNA, MALAT1が熱ストレスに応答して核スペックルから離脱し、新規核内構造体(Heat-inducible Noncoding RNA body; HiNoCo bodyと命名)を形成する」という新しい現象を発見した。HiNoCo bodyの形成は細胞の増殖に必須であるが、HiNoCo bodyがどのように形成・維持されるのかは十分明らかではない。本研究ではHiNoCo bodyの形成・維持機構およびHiNoCo body依存的な熱応答性遺伝子発現機構を解明することを目的とする。 申請者はこれまでにHiNoCo bodyの構成タンパク質として熱ストレス下でのMALAT1結合タンパク質群を同定している。これらについてノックダウン実験を行う過程で、MALAT1結合タンパク質の一つのRNA分解因子をノックダウンするとHiNoCo bodyの形成が阻害されることを発見した。さらにMALAT1/HiNoCo bodyによるRNA分解制御機構を理解するために、RNA分解を測定するための実験条件の検討を行い、標的RNA群のRNA分解を測定する実験系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験開始時に計画していた、RNA分解のための実験系を確立することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に確立した実験系を用いてMALAT1/HiNoCo body依存的なRNA分解の評価を行う。また、MALAT1/HiNoCo body依存的な転写制御についても解析を進めていくことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に必要な試薬の納期が予定よりもかかり、年度内に納品することができず、計画していた実験の一部を年度内に行うことができなかったため。今年度に行えなかった実験と計画当初から予定していた実験を合わせて、次年度は研究を遂行する予定である。
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