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2022 年度 実施状況報告書

がん細胞の浸潤転移を制御するダイナミンクロスブリッジ機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K06580
研究機関岡山大学

研究代表者

阿部 匡史  岡山大学, 医学部, 技術専門員 (60423282)

研究分担者 山田 浩司  岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (80325092)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードダイナミン / アクチン / がん / 微小管 / 仮足
研究実績の概要

本研究は、がん細胞における仮足形成に必須であるアクチン及び微小管の再構成機構(ダイナミンクロスブリッジ)を明らかにする。本年度は、in vitro解析法を駆使してダイナミン2野生型、K562E、K562delta変異体によるアクチン線維束を電子顕微鏡にて観察し、クライオ電子顕微鏡による構造解析に向けた試料調製条件の最適化を試みた。ダイナミン2タンパクは、コムギ胚芽無細胞タンパク合成系を用いて調製した。アクチン線維束の観察は、負染色後、透過型電子顕微鏡を用いて行なった。ダイナミン2野生型により形成されたアクチン線維束は、1個あたり幅が約50nmで、K562E及びK562deltaにより形成されたアクチン線維束と同様であった。しかし、ダイナミン2野生型により形成されたアクチン線維束は、別の複数の線維束とともに、さらに束化していた。K562E及びK562delta変異体により形成されたアクチン線維束は、野生型のものと比べて顕著に再束化するアクチン線維が少なかった。そのため、ダイナミン2野生型を用いたアクチン線維束は、クライオ電子顕微鏡観察に不適であることが判明した。以降、K562EまたはK562delta変異体を用いたアクチン線維束を構造解析に使用することになった。また、クライオ電子顕微鏡観察する場合には、試料の濃度を高くする必要がある。しかしながら、ダイナミン2は、濃度の高い状態では、凝集しやすいため、条件のさらなる検討が必要になった。次年度には、分散したアクチン線維束の形成を高濃度に得る条件を探し出し、クライオ電子顕微鏡観察に備えたスクリーニングを行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ダイナミン2を用いてin vitroにてアクチン線維束をコンスタントに形成させることに成功した。しかしながら、できたアクチン線維束が別のアクチン線維束とさらに束化することが認められ、構造解析に不向きであることが明らかになった。そのため、ダイナミン2の変異体のうち過度に重合しないものを検討する必要がある。今年度は、K562E及びK562deltaを使用した。今後、この変異体を用いて、クライオ電子顕微鏡解析に向けた条件の最適化を行いつつ解析していく。

今後の研究の推進方策

以降、ダイナミン2変異体を用いて、最適なアクチン線維束の分散条件を見つけ出し、クライオ電子顕微鏡観察に向けた条件の最適化を行なっていく。このように、アクチン線維束形成過程の解明を主体に、構造の面からもさらに解析を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

計画的な物品の購入等により、予定より支出を減らすことができたため、次年度使用額が生じた。使用計画としては次年度実施予定のアクチン繊維束の形成条件の検討、およびクライオ電子顕微鏡観察に向けた条件の最適化等、アクチン繊維束形成過程の解明に必要な費用に充当する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The Lipid-Binding Defective Dynamin 2 Mutant in Charcot-Marie-Tooth Disease Impairs Proper Actin Bundling and Actin Organization in Glomerular Podocytes2022

    • 著者名/発表者名
      Hamasaki E, Wakita N, Yasuoka H, Nagaoka H, Morita M, Takashima E, Uchihashi T, Takeda T, Abe T, Lee JW, Iimura T, Saleem MA, Ogo N, Asai A, Narita A, Takei K, Yamada H
    • 雑誌名

      Frontiers in Cell and Developmental Biology

      巻: 10 ページ: 884509

    • DOI

      10.3389/fcell.2022.884509

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Recruitment of Irgb6 to the membrane is a direct trigger for membrane deformation2022

    • 著者名/発表者名
      Yamada H, Abe T, Nagaoka H, Takashima E, Nitta R, Yamamoto M, Takei K
    • 雑誌名

      Frontiers in Cell and Infection Microbiology

      巻: 12 ページ: 2022

    • DOI

      10.3389/fcimb.2022.992198

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 1.脂質膜結合活性が低下しているダイナミン2のCMT変異体は、ポドサイトにおけるアクチン線維の配向とアクチンバンドル形成を異常にする2022

    • 著者名/発表者名
      山田浩司、阿部匡史、内橋貴之、成田哲博、竹田哲也、竹居孝二
    • 学会等名
      第95回日本生化学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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