研究課題/領域番号 |
22K06581
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
菅原 栄紀 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (50405916)
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研究分担者 |
井ノ口 仁一 東北医科薬科大学, 薬学部, 特任教授 (70131810)
藤村 務 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (70245778)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | レクチン / 細胞内輸送 / Rab ファミリー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,がん細胞内にSALが取り込まれる分子メカニズムを解明することと共に薬剤融合SALの作製および有用性の検討を行い新規がん治療方法の開発することである.ナマズ卵レクチン(SAL)は,ヒト子宮頸がん由来細胞株HeLaの細胞膜表面上に発現しているGlobotriaosylceramide(Gb3)に結合し細胞内に取り込まれ,その後ゴルジ体から出芽し膜構成分にLAMP1を有するリソソーム様小胞(LLV)の周囲に集積する.本年度は,しかし,取り込みから集積に至るまでの詳細な機構については不明であった.今回我々は,HiLyte標識したSAL(HL-SAL)を作製し,HeLa細胞内におけるSALの取り込みから集積に至るまでの詳細な機構を解析した.HL-SALは,処理後1 時間から取り込みが開始され,その後取り込み量の増加とともに処理後6時間からLLVの形成およびLLVへのSALの集積が起こり始めることが確認された.この時ゴルジ体との共局在は見られなかった.次に,Rabファミリーに着目し,GFP融合Rab5およびRab7を強制発現させてHL-SALの局在を検討した.HL-SALはRab5およびRab7と部分的に共局在を示し,Rab7はLLVの膜上に発現していることも分かった.さらにエンドソーム膜融合阻害剤Wortmanninおよびエンドソーム内のpH低下に関与するV-ATPaseの阻害剤であるBafilomycin A1(BafA1)を用いて検討した結果,Wortmannin処理によりHL-SALのLLVへの集積が阻害された.一方,BafA1処理ではLLVの増大が抑制され,未成熟型のLLVにHL-SALの集積が認められた.本結果は,SALは細胞内に取り込まれた後,Rab5が存在する初期エンドソームを介してLLVと融合し,その膜上に集積する可能性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の研究計画は,HiLyte標識したSAL(HL-SAL)を作製しSALの細胞内輸送経路を解明することである.令和4年度は,GFP融合Rab5およびRab7を強制発現させてSAL取り込みにおけるRabの関与およびエンドソーム膜融合阻害剤Wortmanninおよびエンドソーム内のpH低下に関与するV-ATPaseの阻害剤であるBafilomycin A1(BafA1)を用いてSALの細胞内輸送経路を解析した.本研究では,細胞内に取り込まれたHL-SALは,Rab5およびRab7と部分的に共局在を示し,Rab7はLLVの膜上に発現していることも分かった.また,Wortmannin処理によりHL-SALのLLVへの集積が阻害された.一方,BafA1処理ではLLVの増大が抑制され,未成熟型のLLVにHL-SALの集積が認められた.本年度の成果は,SALは細胞内に取り込まれた後,Rab5が存在する初期エンドソームを介してLLVと融合し,その膜上に集積する可能性を示している結果であり,令和4年度の研究がおおむね順調な理由である。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に行った研究から,SALは細胞内に取り込まれた後,Rab5が存在する初期エンドソームを介してLLVと融合し,その膜上に集積する可能性が示した.しかし,Rab5および7がHeLa細胞におけるSALの細胞内輸送に関与しているか否かについては明らかにすることはできなかった.HeLa細胞にはRab1A,2A,4A,5A,6A,7A,9Aおよび11Aが発現していることを明らかにしている.今後は,これらをRNA干渉によりノックダウンした細胞を作製し,SALの取り込みおよび細胞内輸送に関与するRabを明らかにする.これによりSALの細胞内輸送経路の裏付けを行う.さらに,細胞内に取り込まれたSALが分解されるまでの時間および分解機序の解明にも取り組むこともSALを治療に応用する場合には重要であるためSALの細胞内動態を明らかにし,効果的に薬物を送達するキャリアになりうることを確認する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は生じた原因は、令和4年度は研究分担者への依頼解析を行わなかったために研究分担者に配当した直接経費が使用されなかったこと、並びに代表者においても令和4年度に計上していた旅費が使用されなかったことが原因であると考える。翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画は、研究代表者は、物品費、旅費およびその他に配分した経費を使用し、研究分担者においては、依頼解析を実施する予定であるため依頼解析時に必要な物品費ならびに研究打ち合わせの旅費に使用する予定である。
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