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2022 年度 実施状況報告書

Alcadeinによる「特権的」小胞輸送とその生理的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06597
研究機関香川大学

研究代表者

山本 融  香川大学, 医学部, 教授 (10251480)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード小胞輸送 / APP / Alcadein / 神経変性
研究実績の概要

認知症をはじめとする神経変性疾患の克服は、超高齢化社会の健全性を維持する上で喫緊の課題である。多様な病状を呈する神経変性疾患であるが、その初期において共通して認められる分子病態として軸索輸送障害が注目されており、精力的に解析が進められている。我々は、順行性高速軸索輸送の主要成分であるキネシンモータータンパク質を、単独でかつ強制的に活性化することによって、自身を含む小胞を「特権的」に輸送させることのできるユニークな膜タンパク質Alcadein(Alc)を同定し、解析を進めている。本年度は、Alcα欠失マウスにおいて見出したアミロイド産生的代謝の亢進について、そのアルツハイマー病(AD)病態への寄与についての検証を進めるために、Alcα欠失マウスと、非生理的過剰発現による人為的表現型の発現を排したマウスモデルであるヒトAPPノックインマウスとの交配をおこない、当該モデルマウスにおけるAD病態が、Alcαの欠失による「特権的」小胞輸送の欠落によりどのような影響を受けるかを、病態生化学的・病理学的な解析を進めることにより検証した。その結果、Alcαの欠失により、Aβ40/42の産生と老人斑の形成がともに亢進することが確認され、特権的小胞輸送の欠落がAD病態に促進的に働きうることが明らかとなった。また、Alcs欠失マウスの系統的病理検索を進めたところ、12ヶ月令程度までは、顕著な異常が認められることはなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒトAPPノックインマウスを用いた検証が進み、AlcαのAD病態への寄与を明らかにすることができたため。

今後の研究の推進方策

Alc欠失老齢マウスを調製し、その系統的な解析をおこなう。また、Alcによって特権的に輸送される因子の同定を進める。

次年度使用額が生じた理由

マウスの繁殖の一部が不調となり、予定していた解析の一部が延引されたため。当該マウスの調製と解析を次年度に進めていく。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Formation of N-acyl-phosphatidylethanolamines by cytosolic phospholipase A 2 ε in an ex vivo murine model of brain ischemia.2022

    • 著者名/発表者名
      Rahman SMK, Hussain Z, Morito K, Takahashi N, Sikder MM, Tanaka T, Ohta KI, Ueno M, Takahashi H, Yamamoto T, Murakami M, Uyama T, Ueda N.
    • 雑誌名

      Biochim. Biophys. Acta Mol. Cell Biol. Lipds

      巻: 1867 ページ: 159222

    • DOI

      10.1016/j.bbalip.2022.159222.

    • 査読あり
  • [学会発表] シナプス形成抑制因子MDGA1/2の欠失による対蹠的なE/Iバランス・行動異常と、これを抑止する薬剤の探索2023

    • 著者名/発表者名
      山本 融、尾嶋 大喜、多田 篤史、窪田 剛志、髙橋 弘雄、冨永 貴志、岸本 泰司
    • 学会等名
      日本薬学会 第143年会
  • [学会発表] 高橋 弘雄、尾嶋 大喜、多田 篤史、坪井 昭夫、山本 融2023

    • 著者名/発表者名
      脳梗塞に対する時間依存的神経保護メカニズム
    • 学会等名
      日本薬学会 第143年会
  • [学会発表] シナプス形成抑制因子MDGA1/2の欠失は対蹠的な興奮/抑制バランス偏移と行動異常を引き起こすが、成年期の薬剤投与により回復できる2022

    • 著者名/発表者名
      山本 融、尾嶋 大喜、多田 篤史、窪田 剛志、髙橋 弘雄、冨永 貴志、岸本 泰司
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会
  • [学会発表] 脳虚血に対する時間依存的な神経保護メカニズム2022

    • 著者名/発表者名
      高橋 弘雄、尾嶋 大喜、坪井 昭夫、山本 融
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会

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公開日: 2023-12-25  

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