研究課題/領域番号 |
22K06602
|
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
田邊 賢司 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (80423341)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 薬剤耐性細胞 / 画像解析 |
研究実績の概要 |
均質な細胞集団であっても外部刺激に対する応答は一様とはならず、細胞ごとに大きなばらつきが認められる。細胞の薬剤耐性獲得もそのようなばらつきの一つであり、薬剤応答における細胞のばらつきを生み出す機構の解明は医学的にも重要といえる。本研究では、均質な細胞集団から薬剤耐性細胞が現れる機構の解明を目指し、多重免疫染色を用いて細胞一つ一つのプロファイリングを行う。得られたプロファイリングと薬剤に対する細胞応答の関連性を解析することで、最終的には耐性細胞発現の予測を試みる。薬剤添加前後の細胞に対し、繰り返し免疫染色を用いて同一細胞における数十種類の細胞内分子を可視化し、その細胞画像を取得する。得られた画像から細胞内分子の発現量や細胞内局在を定量化し、細胞をプロファイリングする。細胞のプロファイリングに必要な手技は確立し、一連の染色および解析を進めたが、当初計画していた阻害剤と細胞株の組み合わせの場合、薬剤効果に長期の時間がかかるため、得られるプロファイリングと細胞応答の関連性を掴むことが難しいことが判明した。そこで今年度は他の阻害剤、細胞株に変更し、検討を進めた。その結果、当初予定していた実験系では数日から2週間程度かかっていた実験系を半日程度に短縮することができた。ただし実験系の変更に伴ってプロファイリングに用いる抗体に大幅な変更が生じたため、材料の条件検討を順次進めた。現在も条件検討が多少残されているものの、今後の実験・解析は支障なく進められると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験系自体は完成しているものの、当初予定していた薬剤、細胞株を用いた場合、耐性細胞の発現までに数日から1週間を要し、同時に細胞株自体の運動能が高いために細胞の形態や特徴が大きく変化してしまう。そのため、材料自体を大きく変更し、他の薬剤、細胞株を用いることで問題を解決した。しかし、これらの変更に伴って細胞の特徴づけに用いる抗体が大きく変更されるため、多重免疫染色への条件検討をやり直す必要が生じている。これらの条件検討が終了次第、実験を再開する。
|
今後の研究の推進方策 |
抗体の条件検討が終了次第、実験を再開する。実験材料(薬剤・細胞株)の変更によって大幅な時間短縮が可能になるため、より詳細な経時変化を解析できると考えられる。変更によって計画の遅れは生じたものの、より信頼性の高い成果が得られるものと期待される。
|
次年度使用額が生じた理由 |
主に条件検討で時間を要しているが、手持ちの材料で繰り返し利用できる実験のため、使用額への予算繰越が生じた。
|