研究課題/領域番号 |
22K06606
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
三田 雄一郎 同志社大学, 生命医科学部, 助教 (70609122)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Selenoprotein P / SECIS / noncoding NRA / 翻訳 |
研究実績の概要 |
本年度は、Selenoprotein P(SeP)のSECIS配列に相補的な配列を持つ新規noncoding RNA L-ISTによるSeP mRNAからタンパク質への翻訳阻害に必要な領域の同定を進めた。 我々のこれまでの研究から、L-ISTによるSeP翻訳抑制には、相補的な領域だけでなく、5'側、3'側の日相動性配列部分も必要であることが明らかになっている。この情報をもとに、5'領域と3'領域の部分欠損変異体を作成し、SePを発現しているHepG2細胞にトランスフェクションを行った。 その結果、5'非相補配列領域では、5'末端から500塩基まで欠損させたL-ISTでは翻訳抑制効果が見られたのに対し、600塩基まで欠損させると翻訳抑制が見られなくなった。500~600塩基のみを欠損させた変異体においても、翻訳抑制効果が見られなかったことから、5'非相補的領域内の必要領域は500~600塩基の間にあることが明らかになった。 次に、3'非相補的配列領域でも同様の解析を行った。その結果、3'末端から500塩基までの欠損では翻訳抑制が起こったが、600塩基まで欠損させた変異体では、抑制が起こらなかった。これらのデータから、3'非相動性領域も末端部から500塩基から600塩基の間に必要配列があると推定された。 long noncoding RNAによる翻訳抑制作用には、alu配列やSINB2配列のようなリピート配列が必要になることが多いことが知られているため、同定された必要領域内に繰り返し配列や機能性ドメインが存在するか確認を行ったが、5'領域、3'領域ともに、典型的な繰り返し配列や機能性ドメインは存在していないことがわかった。 現在、詳細な必要配列の同定を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、昨年度中に詳細な必要領域の同定が終了している予定であったが、断片化L-ISTを発現させるPlasmidの作成に時間を要してしまい、100塩基の範囲までしか絞り込みを行うことができなかったたため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の条件検討の結果から、L-ISTの5'領域の末端約200塩基部分がPCRで増幅が困難な配列を有していることが明らかになった。この問題を解決するために、SePの翻訳抑制作用を有する5'領域の1~300塩基を欠損させた変異L-ISTを基本構造として利用することで、Plasmidの作成効率を上昇させることが可能になった。こんごは、5'領域の1~300塩基を欠損させた変異L-ISTに様々な変異を加えることによって、解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
L-IST配列中にPCR困難領域が存在したため、研究を進めるにあたり必要なPlasmidの作成が予定よりも時間を要したため、トランスフェクション実験やたんぱく質、RNAの解析などを行うことができず、物品費を使用できなかったため。
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