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2023 年度 実施状況報告書

noncoding RNAによるSECIS制御メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K06606
研究機関同志社大学

研究代表者

三田 雄一郎  同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (70609122)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードSelenoprotein P / SECIS / noncoding NRA / 翻訳
研究実績の概要

Se含有タンパク質はタンパク質中にCysの硫黄がセレンに置き換わったセレノシステイン(Sec)の形でセレンを含んでおり、ヒトでは25種類存在している。Secは通常は終始コドンとして認識されるUGAコドンにコードされており、mRNAの3'非翻訳領域中にSec挿入配列(SECIS)と呼ばれる特殊なヘアピン構造を形成する配列が存在する場合にのみ、Secをタンパク質中に挿入するコドンとして利用されている。
Se含有タンパク質のひとつ、Selenoprotein P(SeP)のSECIS領域を含む3'非翻訳領域には、相補的な配列を持つnon codig RNAであるNon-coding RNA-Inhibitor of Selenoprotein P Translation(L-IST)遺伝子が存在し、L-ISTによってSeP mRNAからタンパク質への翻訳が阻害される。しかし、L-ISTによる翻訳抑制に必要な機能配列はいまだ明らかになっていない。本研究課題では、L-ISTの機能配列の同定を試みている。
これまでの解析の結果、L-ISTの機能領域には、SeP mRNAとの非相動性領域が関与していることが明らかになり、5'非相動性領域においては末端から500塩基から600塩基の間に必要領域が存在することが明らかになっている。2023年度は、3'非相動性領域に含まれる機能配列の同定を行った。その結果、3'末端側から500塩基~600塩基に必要配列が存在すること、特に、560塩基~600塩基の間の40塩基がSeP mRNAの翻訳を抑制するための必要な配列であることが明らかになった。
現在、SeP mRNAとL-ISTの相動性配列内にも必要領域があるのではないかと仮説を立て、必要配列の同定を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

3'非相動性領域の欠損変異体を用いた解析において、タンパク質のローディングコントロールとして用いていたACTINやGAPDHが減少するという予定外の事態に遭遇した。
最終的にCBB染色を用いることでタンパク質量がそろっていることを証明できるようになったが、条件検討やコントロールの減少メカニズムの探索に時間を要してしまい、予定よりも実験を進めることができなかった。、

今後の研究の推進方策

2024年度は、L-ISTとSeP mRNAの非相補的な配列に含まれている機能性配列ではなく、相動性配列中に含まれる必要配列の同定を行う。
相動性配列中の機能性配列が同定された後には、他のセレン含有タンパク質をコードするmRNA中に存在する該当配列の相動性配列を組み込んだL-IST変異体を作製することで、L-ISTによるSeP翻訳抑制メカニズムが、SeP mRNA特異的なメカニズムなのか、Se含有タンパク質で一般的に起こる現象なのかを検証する。

次年度使用額が生じた理由

2023年度はL-ISTの変異体を作製し必要配列の同定を行った。3’領域の必要配列を行った際に、タンパク質のローディングコントロールに用いているGAPDHやACTINの発現量の減少がみられ、適切なローディングコントロールとして用いるものを探索する必要があり、予定よりも研究が進捗しなかった。そのため、2023年度使用予定の金額よりも使用した金額が少なくなり、繰り越しが生じた。
ローディングコントロールの問題は解消したため、2024年度は、2023年度に行う予定だった研究も含めて課題を進行する予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] The NERP-4?SNAT2 axis regulates pancreatic β-cell maintenance and function2023

    • 著者名/発表者名
      Zhang Weidong、Miura Ayako、Abu Saleh Md Moin、Shimizu Koichiro、Mita Yuichiro、Tanida Ryota、Hirako Satoshi、Shioda Seiji、Gmyr Valery、Kerr-Conte Julie、Pattou Francois、Jin Chunhuan、Kanai Yoshikatsu、Sasaki Kazuki、Minamino Naoto、Sakoda Hideyuki、Nakazato Masamitsu
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 14 ページ: 8158

    • DOI

      10.1038/s41467-023-43976-8

    • 査読あり
  • [雑誌論文] An efficient selenium transport pathway of selenoprotein P?utilizing a high-affinity ApoER2 receptor variant and being independent of selenocysteine lyase2023

    • 著者名/発表者名
      Mizuno Ayako、Toyama Takashi、Ichikawa Atsuya、Sakai Naoko、Yoshioka Yuya、Nishito Yukina、Toga Renya、Amesaka Hiroshi、Kaneko Takayuki、Arisawa Kotoko、Tsutsumi Ryouhei、Mita Yuichiro、Tanaka Shun-ichi、Noguchi Noriko、Saito Yoshiro
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 299 ページ: 105009~105009

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2023.105009

    • 査読あり
  • [学会発表] SH-SY5Y細胞の培養上清によるSelenoprotein P発現抑制メカニズムの解析2024

    • 著者名/発表者名
      三田雄一郎、下村加誉子、山本真帆、野口範子
    • 学会等名
      第 7 回日本セレン研究会
  • [学会発表] エタノールが肝臓細胞のセレノプロテインPに及ぼす影響とそのメカニズムの解明2024

    • 著者名/発表者名
      陳簡、三田雄一郎、野口範子
    • 学会等名
      第 7 回日本セレン研究会
  • [学会発表] パーキンソン病関連タンパク質DJ-1の新規修飾をターゲットとした治療法・予防法の検討2024

    • 著者名/発表者名
      松田康平、三田雄一郎、浦野泰臣、西郷和真、斎藤芳郎、 野口範子
    • 学会等名
      生化学若い研究者の会 近畿・中四国支部 冬のセミナー
  • [学会発表] 筋分化C2C12細胞におけるSelenoprotein Pが誘導するインスリン抵抗性に対するシステイン代謝の関与の解析2023

    • 著者名/発表者名
      野口歩夢、三田雄一郎、鎌田莉々香、池田聖司
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] L-ISTの発現に必要な転写因子結合部位の同定2023

    • 著者名/発表者名
      細川萩月, 三田雄一郎, 小槻悠介, 野口範子
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 神経由来SH-SY5Y細胞が分泌するSelenoprotein Pの発現を抑制する因子の探索2023

    • 著者名/発表者名
      山本真帆, 三田雄一郎, 下村加誉子、野口範子
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] SH-SY5Y細胞におけるH2O2誘導性細胞死に対する細胞外DJ-1の細胞保護効果の解析2023

    • 著者名/発表者名
      河井 麗 三田 雄一郎 野口 範子
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] パーキンソン病関連タンパク質DJ-1の新規修飾の同定2023

    • 著者名/発表者名
      松田康平、三田雄一郎、野口範子
    • 学会等名
      第76回日本酸化ストレス学会学術集会
  • [学会発表] ヒト肝癌細胞HepG2におけるRetinoic AcidによるSelenoprotein Pの減少メカニズムの解析2023

    • 著者名/発表者名
      傳谷理玖, 三田雄一郎, 関谷駿史, 野口範子
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 超硫黄分子種による活性種選択的な脂質過酸化抑制作用2023

    • 著者名/発表者名
      金子尚志, 三田雄一郎, 二木鋭雄, 野口範子, 斎藤芳郎
    • 学会等名
      第76回日本酸化ストレス学会学術集会
  • [学会発表] Selenoprotein Pを標的とした糖尿病治療の開発2023

    • 著者名/発表者名
      三田雄一郎
    • 学会等名
      レドックスR&D委員会 第2回夏のシンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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