研究課題/領域番号 |
22K06610
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤澤 貴央 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (50636644)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 亜鉛 |
研究実績の概要 |
昨年度までに我々は、培養細胞が亜鉛欠乏ストレスに曝された際に、ヒストンH3の14番目のリジン残基のアセチル化(H3K14ac)が顕著に減弱することを見出し、その分子メカニズムとして、H3K14をアセチル化するヒストンアセチル基転移酵素KAT7が亜鉛欠乏状況下で活性を失うことを明らかにしてきた。本年度は、亜鉛欠乏状況下でH3K14acが減少することの生理的意義・病態生理学的意義の解析を進めた。 H3K14acは遺伝子発現変動を担うヒストン修飾として知られている。そこで、培養細胞に亜鉛欠乏ストレスを与えた際の遺伝子発現変動をRNA-seqにより解析した。このデータと、公共データベース上のH3K14acのChIP-seqデータを組み合わせることで、亜鉛欠乏時のH3K14acシグナルの減弱により変動する遺伝子群を複数同定した。また、個体レベルにおけるH3K14acシグナルの減弱の生理的・病理的意義を検討するため、マウスへの亜鉛欠乏食給餌実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究が想定以上に進み、亜鉛欠乏により誘導されるKAT7の活性低下の分子メカニズムの解析を前倒しで完了させることができ、本来最終年度に予定していたRNA-seqやマウス実験の開始時期を早めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、亜鉛欠乏依存的なH3K14ac修飾減弱の生理的・病理的意義の解明に取り組む。RNA-seqにより得られた遺伝子群を解析することにより、細胞が亜鉛欠乏時にH3K14acを減弱させることでどのようなストレス応答を行っているのかを明らかにする。また、マウスへの亜鉛欠乏食給餌実験により、マウス個体において亜鉛欠乏時にどのような組織でH3K14acが減弱するのか、また、それにより個体レベルでどのような表現型が現れるのかを明らかにする。
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