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2023 年度 実施状況報告書

プロテアソーム不全に応答する新たなプロテアソーム機能維持機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06611
研究機関東京大学

研究代表者

濱崎 純  東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (80533588)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードタンパク質分解 / プロテアソーム / O-GlcNAc / ユビキチン
研究実績の概要

申請者はプロテアソーム不全時のプロテアソーム機能維持にタンパク質O-GlcNAc修飾の亢進およびユビキチンリガーゼRNF181が重要であることを見出した。本研究では、プロテアソーム機能維持に重要な働きをする具体的な因子および分子メカニズムを明確にするために、以下の観点から計画を実施した。
1: プロテアソーム機能維持機構における具体的な分子機能の解明
O-GlcNAc修飾タンパク質のうちプロテアソーム機能維持に重要な因子の探索による具体的な作用メカニズムの解明。RNF181のユビキチン化標的を明らかにすることによるプロテアソーム合成制御に働くメカニズムの解明。2: マウス個体を用いたプロテアソーム機能維持機構の生理機能の解明
細胞での検証で明らかになった分子機能がどのような生理的意義を持つかマウス個体での検証による、プロテアソーム機能不全に起因する病態への効果の検証。
これらの推進により、これまでのところ計画を順調に推進することができ、従来の概念から想定されるプロテアソーム機能制御機構とは異なる新規性の高い分子機構を明らかにしつつある。本年度は特に動物実験および具体的な証明や詳細の解析について条件検討や新たな実験系の検討に多くの労力を割いた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

スクリーニングで同定したO-GlcNAc化基質の候補因子がO-GlcNAc経路に関連するのか、直接O-GlcNAc修飾されるのか生化学解析により順次検証している。RNF181 KO細胞においてbortezomib処理下でのプロテアソーム分子集合の不全を確認している。また、哺乳類培養細胞での免疫沈降実験からRNF181とプロテアソームサブユニットとの会合を確認した。さらにRNF181が特定のサブユニットをユビキチン化することが質量分析解析により示唆されたことから、RNF181活性変異体やサブユニットのユビキチン化部位変異体の作成など詳細な解析を集中して行った。
腫瘍モデルおよびすでに樹立ずみのbortezomib耐性細胞において候補因子のノックダウンおよび阻害剤におけるbortezomibとの併用効果を検証した。RNF181 KO細胞を移植したマウス腫瘍形成モデルにおけるbortezomibによる腫瘍増殖抑制効果の増強を確認し、bortezomibとの併用によるがん治療の新規治療標的としてのRNF181の有望性が示された。個体においてRNF181が担うプロテアソーム機能維持機構の生理的意義を調べるためにRNF181 KOマウスの作出に成功した。マウス個体における生化学解析を主に行い、細胞株での実験で観察されていた結果がprimary MEFでも再現できることなど、これまでの結果の信頼性を補強する結果を得ている。

今後の研究の推進方策

サブユニット分子集合過程におけるRNF181の働きを明確にする検証作業を進める。RNF181 KO細胞およびプロテアソームサブユニットユビキチン化部位変異体発現細胞において異常なプロテアソーム形成中間体の蓄積を確認することでRNF181 がユビキチン化を介してサブユニット分子会合に関与するか検証する。そこでRNF181ユビキチンリガーゼ活性変異体についても同様の検証を行い、リガーゼ活性が機能発揮および阻害標的として適切か明らかにする。また、作出したKOマウスについて病態の発症や進行について運動機能測定や組織免疫染色、各種バイオマーカー測定を行い検証する。プロテアソーム阻害以外にどのような生理的な現象、ストレス応答にRNF181が重要であるかを明らかにする。概ね計画は推進できており、難航している実験についての準備や条件等に時間と労力を十分かけたことから、来年度以降は成果発表に繋げるための詳細な証明に資する結果の取得を予定している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] PAC1 deficiency protects obese male mice from immobilization-induced muscle atrophy by suppressing FoxO-atrogene axis.2023

    • 著者名/発表者名
      Li Q, Ishii KA, Kamoshita K, Takahashi K, Abunduwaili H, Takayama H, Galicia-Medina CM, Tanida R, Ko Oo H, Gafiyatullina G, Yao X, Abuduyimiti T, Hamazaki J, Goto H, Nakano Y, Takeshita Y, Harada K, Murata S, Takamura T.
    • 雑誌名

      Endocrinology

      巻: 164 ページ: 6

    • DOI

      10.1210/endocr/bqad065.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Senescent cells form nuclear foci that contain the 26S proteasome2023

    • 著者名/発表者名
      Iriki T, Iio H, Yasuda S, Masuta S, Kato M, Kosako H, Hirayama S, Endo A, Ohtake F, Kamiya M, Urano Y, Saeki Y, Hamazaki J, Murata S
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 42 ページ: 112880

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2023.112880.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] The ubiquitin ligase RNF181 plays a pivotal role in sustaining the mammalian proteasome activity under proteasome impairment2023

    • 著者名/発表者名
      Jun Kishiki, Shota Okuno, Eiichi Hashimoto, Shoshiro Hirayama, Hidetaka Kosako, Jun Hamazaki, and Shigeo Murata
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
  • [学会発表] 哺乳類プロテアソームの新規転写因子の同定2023

    • 著者名/発表者名
      橋本創太、 王妍、董瑶加、平山尚志郎、濱崎純、 村田茂穂
    • 学会等名
      第96回生化学会大会
  • [学会発表] プロテアソーム活性を指標にしたCRISPRスクリーニングによる哺乳類プロテアソームの機能制御因子の網羅的探索2023

    • 著者名/発表者名
      稲見真紀, 川邉明広, 平山尚志郎, 榎本豊, 北村俊雄, 濱崎純, 村田茂穂
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
  • [学会発表] 細胞老化に伴う新規プロテアソーム核内foci SANPs(senescence-associated nuclear proteasome foci)の発見2023

    • 著者名/発表者名
      飯尾浩章、入木朋洋、安田柊、増田竣、加藤雅和、小迫英尊、平山尚志郎、遠藤彬則、大竹史明、神谷真子、浦野泰照、佐伯泰、濱崎純、村田茂穂
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
  • [学会発表] 細胞老化に伴う新規プロテアソーム核内fociの形成によるミトコンドリア活性の抑制2023

    • 著者名/発表者名
      濱崎純、村田茂穂
    • 学会等名
      第75回日本細胞生物学会大会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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