研究課題/領域番号 |
22K06624
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
長谷川 顕子 (山路顕子) 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 専任研究員 (20332314)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 生理活性脂質 / 脂質解析プローブ / ガン |
研究実績の概要 |
新規生理活性脂質セラミド1リン酸は、炎症反応・細胞増殖・ガンの増悪などへの関与の可能性が指摘されているが、生体内では極微量成分であり、代謝や局在の情報も少ないことなどから、その生理機能発現の分子機構はほとんど明らかになっていない。本研究では、セラミド1リン酸を特異的に検出できる解析プローブを開発し、それを用いてセラミド1リン酸の細胞内動態や共局在分子の解析などを行う。これにより、ガンの増悪や炎症反応などの病態におけるセラミド1リン酸の作用機序の解明を目指す。 これまでの予備実験で、ある脂質代謝関連酵素がセラミド1リン酸特異的結合活性を持つこと、そのうちの一部領域(M1)が結合を担うことがわかっている。本年度は、蛍光タグを付加したM1リコンビナント蛋白質を作製し、様々な細胞株について細胞染色を行った。その結果、ほとんどの細胞株で細胞内にドット状の染色像が観察され、特にある膵臓腺ガン細胞株では多数のドット像が認められた。次に、各種オルガネラマーカーとの二重染色を行うことにより、これらのドット像の局在部位の同定を試みた。また、細胞をいろいろな薬剤処理するなどして、ドット像の数や分布に影響を与えるような刺激やシグナルの探索を行った。ドット像は、セラミド1リン酸を含む細胞内小胞を反映していると考えられ、ある刺激やシグナルによってその動態が制御されていると推測される。 次年度以降、蛍光標識したM1を細胞内に発現させて、セラミド1リン酸を含む小胞の動態を生細胞で観察することにより、詳細な機構を明らかにできると考えており、その発現系の構築にも着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リコンビナント蛋白質を用いた細胞染色の実験系を構築することができ、セラミド1リン酸の動態や機能を考察する端緒となる実験結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光標識したM1を細胞内に発現させて、セラミド1リン酸を含む小胞の動態を生細胞で観察する。また、M1を用いてセラミド1リン酸を含む小胞を回収し、そこに含まれる蛋白質や脂質の網羅的解析を行う。これらの実験により、セラミド1リン酸の相互作用分子や細胞内分布の制御機構を明らかにし、この生理活性脂質の機能や病態への作用機序の情報を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は主に固定細胞の観察を行い、生細胞の観察実験は少ししか行わなかったため、それに係る試薬・器具等の購入が予定よりも少なく、次年度使用額が発生した。翌年度には、生細胞観察を行うとともに、小胞の生化学的解析にも取り組む予定であり、そのための試薬・器具類を新たに購入予定である。
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