研究課題/領域番号 |
22K06627
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研究機関 | 富山県薬事総合研究開発センター |
研究代表者 |
本田 裕恵 富山県薬事総合研究開発センター, その他部局等, 課長 (10463134)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | NLRP3インフラマソーム / カンゾウ / Isoliquiritigenin |
研究実績の概要 |
本研究では(1)Isoliquiritigenin(ILG)のNLRP3インフラマソーム活性化阻害機序を明らかにすること、(2)代謝障害関連脂肪肝炎(MASH(旧名称:NASH))モデルに対するILGの抗線維化作用の機序を明らかすること、を目的としている。 (1)に関しては、2022年度にILGの標的タンパク候補として絞り込んだリコンビナントタンパクを入手し、質量分析計を用いた解析によりILGとの共有結合を示唆するデータを得ている。このことに関連して、ILGのNLRP3インフラマソーム活性化抑制作用がシステインの添加、またはタンパクの結合部位と予想されたシステインを含むペプチドの添加により消失することを確認した。また、ILGをTHP-1細胞に振りかけた細胞溶解液においても同様のタンパクとの結合が認められるかを解析したが、結合を確認することはできなかった。さらに、最近NLRP3タンパクとの結合能力を有することが報告されているIKKβについて、別の系においてILGと結合することが報告されていたことから、ILGのNLRP3インフラマソームの活性化抑制効果にIKKβが関与しているかを確認することとした。その結果、NLRP3とIKKβとの結合は、これまでに確認しているILGの阻害ポイントよりも下流で起こっていることが推定された。 (2)に関しては、CDAHFD食を6週間摂餌させたMASHモデルマウスの肝臓においてインフラマソームの活性化が起こっていることを確認するため、肝臓組織をミンスしたものをex vivoにて培養し、その培養上清中に産生されるIL-1βの量を測定した。また、ILG混餌によってこれが抑制されていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ILGと標的タンパクが共有結合していることを示唆するデータを得ることができ、これを利用し、質量分析による標的タンパクの同定を行った。標的候補のリコンビナントタンパクとILGでは結合が確認できたものの、細胞溶解液を用いた解析ではその結合を認めることはできていない。しかしながら、今回Biotin化ILGを合成することができたことから、標的タンパク同定がスムーズに進むものと考える。 またMASHモデルマウスの解析では、モデルマウスの肝臓においてインフラマソームの活性化が起こっていることが確認でき、これがILG混餌によって抑制されることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
1. ILGがNLRP3インフラマソーム活性化を阻害する分子機序の解明 今回、Biotin化ILGを入手できたことから、これをTHP-1細胞の溶解液と混合し、Avidin結合ビーズを用いてILGと結合するタンパクを取得し、以下のとおり解析を行う。①上記においてウェスタンブロッティングにおいて候補タンパクが検出された場合、ペプチドマッピングで結合部位を確認し、結合部位と予想される部位のアミノ酸置換体を発現する細胞を作製し、NLRP3インフラマソーム活性化への影響を調べる。②上記で候補タンパクが検出されない場合には、Biotin化ILGに結合するタンパクについて網羅的に質量分析を行う。 2. MASHモデルに対するILGの抗線維化作用の機序の解明 CDAHFD摂餌によって肝臓に動員される細胞の解析と、それらがILG混餌によりどのような影響を受けるかについて検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
施設の動物実験数が限定されたため、マウスの購入数が予定よりも少なかった。残額は、ILGの作用機序の解析のため、抗体、ビーズ、プライマー、細胞培養用試薬等の実験用試薬購入のため使用する計画である。
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