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2023 年度 実施状況報告書

SIGIRR/IL-18Rα複合体形成に基づいた新規抗炎症療法の分子基盤の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22K06642
研究機関崇城大学

研究代表者

首藤 恵子  崇城大学, 薬学部, 講師 (70510692)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードSIGIRR / スクリーニング系構築 / Split NanoLuc / 分子間相互作用
研究実績の概要

抗炎症性サイトカインのIL-37は、細胞膜上でSIGIRRとIL-18受容体(IL-18R)αとのヘテロ二量体形成を促進することで抗炎症性シグナル伝達を惹起する。このIL-37-SIGIRR/IL-18Rα axisによる抗炎症作用を増強させるため、主要な役割を担うSIGIRRの発現を上昇させる化合物についてこれまで検討を行ってきた。その結果、特異的ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)3阻害薬がSIGIRR発現を上昇させることを見出し、更にIL-37による抗炎症作用を増強させることを明らかにした。
当該年度は、IL-37に代わる新たなSIGIRR/IL18Rαヘテロ二量体形成促進薬の探索のため、Split NanoLucを用いたスクリーニング系の構築を行った。SIGIRR及びIL-18RαのC末端にLgBiTまたはSmBiTを融合させ、IL-37による2分子間相互作用について様々な条件下で検討したものの、緩やかな活性上昇が観察されるのみでスクリーニング系としては不適であった。
上記で挙げたヘテロ二量体に加え、SIGIRRはホモ二量体または多量体を形成することにより各種IL-1R familyやTLRのシグナル伝達を抑制し、抗炎症作用を発揮することが知られている。そこで次にSIGIRRのLgBiTとSmBiT同士による相互作用を検討したところ、IL-18Rαとのヘテロ二量体よりも10倍程度高い活性を示した。更にこの活性は、細胞内でSIGIRRと結合しその膜上発現を抑制するスプライスバリアントΔ8-SIGIRRにより有意に抑制された。
以上のことから、本スクリーニング系はΔ8-SIGIRRにより抑制されたSIGIRR同士によるホモ二量体形成を促進させる、またはSIGIRRとΔ8-SIGIRRとのヘテロ二量体形成を抑制する新たなSIGIRR活性化薬の開発に有用である可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

L-18RαとSIGIRRのヘテロ二量体形成を促進する化合物探索には、ポジティブコントロールとしてIL-37が機能しなくてはならない。そのため、IL-37によるIL-18RαとSIGIRRのヘテロ二量体形成の促進が検出されるよう用いる細胞株や細かな実験条件を様々に変えて検討を行ったことに対し時間を要した。

今後の研究の推進方策

Δ8-SIGIRRは嚢胞性線維症やがんといった慢性炎症性疾患で発現が亢進し、その病態形成や増悪化に寄与する可能性が示唆されている。今後はΔ8-SIGIRRのLgBiT及びSmBiT融合コンストラクトを作成し、正常型SIGIRRとΔ8-SIGIRRとのヘテロ二量体形成を抑制する化合物、またはΔ8-SIGIRRにより抑制された正常型SIGIRRのホモ二量体形成を回復させる化合物を、熊本大学独自のUpRodオリジナル天然物バンクを用いて探索する。

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公開日: 2024-12-25  

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