研究課題/領域番号 |
22K06655
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
間宮 隆吉 名城大学, 薬学部, 准教授 (70340297)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ストレス / PTSDモデル動物 / 治療薬 |
研究実績の概要 |
2年度は、初年度までに確立した心的外傷後ストレス障害(PTSD)モデルマウスを用いて、新規候補化合物の薬効評価を進めた。わが国において、臨床で使用されているパロキセチンなどPTSD治療薬のターゲットはセロトニン神経であることから、まずこのモデル動物のセロトニン機能を確認するために、前頭前皮質、海馬、扁桃体のセロトニン(5-HT)およびその代謝物の5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)含量をHPLCを用いて測定した。しかし、健常動物と比較して、それぞれの含量及び5-HIAA/5-HT比とも特に有意な変化は認められず、5-HT神経系の活性は影響を受けていなかった。また、リアルタイムPCR法にて5-HT1A受容体mRNAレベルの変化を同様に比較したが、特に変化していなかった。したがって、本モデルマウスの脳内5-HT機能は大きな変化をしていない可能性が示唆された。 次に、5-HT1および5-HT2受容体に対してアゴニスティック様作用を示すカンナビジオールの作用を行動薬理学的に検討した。恐怖条件付けフリージング試験において、文脈的環境における フリ-ジング反応を解析したところ、本モデルマウスで認められたフリージング反応の亢進がカンナビジオール (30 mg/kg)によって有意に緩解された。 また、本課題の最終目標としている生体試料を用いた解析についても予備検討を開始し、事務的な手続き準備も始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基礎研究については、おおむね計画通りに進んでいる。これまでに開発したPTSDモデルマウスに対して、既存治療薬による薬効を確認し、新たな化合物の薬効を評価している。カンナビジオールは行動薬理学的に治療薬となりうる可能性を見出した。現在はその長期投与による毒性について検討している。 一方、バイオマーカー開発に関してはやや遅れている。計画ではバイオバンクからのPTSD患者の生体試料購入を考えているが、機関内承認手続き準備のために時間を要している。可及的速やかに手続きを進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
基礎研究については、計画通りに進めていく。また生体試料を用いる内容については、引き続き、機関内およびバイオバンクへの申請手続きを行い、バイオマーカー開発につなげたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
生体試料購入を見込んでいたが、購入に至らなかったため。次年度はこの分と合わせて購入に充てたい。
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