研究課題/領域番号 |
22K06656
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
松本 健次郎 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (10406770)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 内臓痛覚過敏 / TRPチャネル / 知覚神経 / マクロファージ / 大腸炎 |
研究実績の概要 |
温度感受性Transient Receptor Potential(TRP)は、知覚神経終末での温度受容に関わるだけでなく、機械・圧刺激など様々な生体メディエーターの刺激に応答するCa2+透過性の高いイオンチャネルである。 TRPは、外界とつながる臓器である消化管において、細胞外環境を感知するセンサーとして、本研究では、知覚神経細胞やマクロファージに発現するTRPV2に着目し、TRPV2の機能解析からIBDの新規治療標的としての可能性を明らかにすることを目的として検討を行った。 TNBS誘起大腸炎モデルにおいて、TRPV2の免疫活性は正常動物と比べ有意に増加した。TRPV2神経はDRGやNGにおいて神経トレーサー陽性細胞体と共局在し、大腸の筋相間神経叢においてNeuN陽性細胞体と共局在した。大腸粘膜におけるTRPV2陽性細胞は、ED2陽性マクロファージと共局在した。DRGにおいてTRPV2は、NF200陽性のA線維に発現し、SPやCGRPと共局在することが観察された。バロスタットによる解析から、TNBSによって引き起こされる内臓痛覚過敏状態が、TRPV2抑制効果を有するトラニラスト、ならびにSKF96365の前投与によって、正常動物レベルまで改善された。 さらにDSS誘起大腸炎モデルにおいて、TRPV2はラットでの検討と同様の発現部位に局在していることを明らかにした。SKF96365の慢性投与によって大腸炎の進行が抑制されることを明らかにした。FACSを用いた検討から、TRPV2は常在型(M2)と誘導型(M1)の両方に発現することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大腸炎におけるTRPV2の発現解析と内臓痛における役割を明らかにすることができた。本成果を学術論文や学会発表で報告することができた。また大学の異動に伴うセットアップを完了することができ、大腸炎の進行におけるTRPV2の役割りにおける標的細胞を決定することができたため、順調に進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の検討により、マウス大腸炎モデルマウスの粘膜固有層細胞において腸管マクロファージの常在型(M2)と誘導型(M1)の両方にTRPV2が発現することを明らかにした。本年度は、骨髄分化マクロファージを用いて、M1とM2typeに分化させて、LPS刺激後に各細胞から放出されるサイトカインやケモカインの変化を確認する。その後、TRPV2抑制効果をもつ薬物の投与やTRPV2ノックダウンによってTRPV2の関与を検討する。 昨年までの病態への関与と合わせて、潰瘍性大腸炎の進行におけるTRPV2発現と大腸炎増悪における、メカニズムを明らかにすることができると考えている、その成果を学術論文や学会発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は大学の異動もあり、研究開始時期が遅れたため、次年度に繰り越す金額が生じた。本年度は、ノックダウンの条件設定やサイトカインの定量関連の試薬を主に使用する予定である。
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