研究課題/領域番号 |
22K06671
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
森田 博史 星薬科大学, 薬学部, 教授 (70220069)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 多環性多量体天然分子 / 機能性シード / 血管弛緩作用 / 抗マラリア活性 |
研究実績の概要 |
メガダイバーシティセンターと呼ばれる生物資源の豊富な熱帯資源国の多様な植物資源を利用することで、特異な環骨格を有する多環性多量体天然物を探索し、それらの構造と機能性を解明する。保有する植物エキスライブラリーをスクリーニングしたところ、マレーシア産オトギリソウ科植物 Calophyllum scriblitifolium の樹皮より2R,3S,15R-calofolic acids(CA)を単離し、フェニレフリン(PE)前収縮ラットに対して血管弛緩作用を示した。この血管弛緩作用の詳細なメカニズムについて、ラット血管平滑筋細胞(VSMCs)を用いて、CA-Aの詳細なメカニズムを検討した。その結果、CA-AはPI3Kの活性阻害により間接的に活性化されたPKA-MYPT1経路を介して血管弛緩を誘導することが示された。 また、本植物エキスより、新規ピラノクマリン,caloforine 類を単離し、各種スペクトルデータの解析により、それらの構造を解明するとともに、Plasmodium falciparum 3D7株に対して抗マラリア活性を示すことを見出した。 一方、ミャンマー産センダン科 Chukrasia velutina の根の抽出エキスより新規イソピマラン型ジテルペノイド,chukranoid 類を単離し、各種スペクトルデータの解析により、それらの構造を決定した。chukranoid 類は、P. falciparum 3D7株に対して抗マラリア活性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
未利用植物資源の抽出物ライブラリーを用いることにより、新しい機能性を有する多環性多量体天然分子を探索し、医薬および機能性シードを創製することを目的としており、既に、2種類の植物(Calophyllum scriblitifolium、Chukrasia velutina )より新規な機能性分子を単離し、それらの活性(血管弛緩作用、抗マラリア活性)を見出している。さらに、血管弛緩作用の詳細な作用メカニズムを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
多様な植物資源を利用することで、特異な環骨格を有する多量体天然物の探索を継続し、血管弛緩作用、抗原虫活性(抗マラリア)、オートファジーの制御、脂肪細胞の分化抑制、破骨細胞の分化抑制作用などの生物活性を指向し、新しい創薬シードの創製を目指す。
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