研究実績の概要 |
キョウチクトウ科植物である魔界玉、ニチニチソウ、マダガスカルジャスミン、セイロンライティア、ハツユキカズラの抽出、液々分配を継続して行っている。ニチニチソウからは新規インドールアルカロイドA-Fを単離し、その相対立体配置を各種2次元NMRを用いて明らかにした。アルカロイドAはビンブラスチンに類似しているが、catharanthine骨格の窒素原子とメトキシカルボニル部位で新たな環を形成した構造を有すると推定した。炭素原子に1つの窒素原子と2つの酸素原子が結合した構造があり、極めてユニークである。絶対立体配置についてはCDスペクトルにより推定した。アルカロイドB-Dはビンブラスチンに類似しているが、7位にスピロ結合を有する4種の立体異性体であることを明らかにした。また構造中にピリジン環を有することも特徴である。絶対立体配置についてはCDスペクトルの計算を用いて明らかにする予定である。アルカロイドE,Fはビンドリンの10位にピペリジン環が結合した構造を有すると推定した。両化合物はピペリジン環部位のエピマーの関係にあり、その立体化学の解明について現在検討を行っている。それ以外の絶対立体配置については、ビンドリンとのCDスペクトルの比較により明らかにできている。今後、これらのアルカロイドについて、抗マラリア活性、細胞毒性、チューブリン重合阻害活性などの生物活性試験を行い、新たな医薬リードの開発につなげていく。
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