研究課題/領域番号 |
22K06688
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
森川 敏生 近畿大学, 薬学総合研究所, 教授 (10340449)
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研究分担者 |
萬瀬 貴昭 近畿大学, 薬学総合研究所, 講師 (40933990)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 蚕砂 / 防已黄耆湯 / 防風通聖散 / 大柴胡湯 / トリテルペンサポニン / trans-tiliroside |
研究実績の概要 |
加齢に伴い蓄積しやすくなる内臓脂肪の過剰な蓄積を,健康と病気の間を連続的に変化する “未病” 状態のマーカーとして捉え,世界各地の伝統・伝承医薬学において供される天然医薬品,とりわけ,我が国の独自性の高い植物製剤である漢方製剤およびその構成生薬のなかから,内臓脂肪の低減に資する活性天然物を探索することを目的とする.すなわち,高脂肪食飼育した加齢動物モデルを用いた in vivo 評価試験での内臓脂肪蓄積量の低減作用(表現型)を示す天然資源から,その表現型を反映する肝細胞を用いた独自の in vitro 試験を指標に活性寄与成分の探索とその活性発現の必須構造,作用機序などの科学的評価をすすめる.見いだした活性天然物をもとに,セルフメディケーションやセルフプリベンションの実践に供される新たな植物性医薬品あるいは機能性食品の提案・開発へと繋げ,もって,限りある医療資源の効率的運用と持続可能な社会保障制度の維持に寄与したい. 事業2年目である令和5年度は,生薬”蚕砂”や漢方処方エキス"防已黄耆湯,防風通聖散,大柴胡湯"の抗糖尿病作用および知謀蓄積抑制効果および種々の薬用植物資源から得られるトリテルペンサポニン類の糖および脂肪吸収抑制作用とその構造活性相関に関する知見を得た.また,アシル化フラボノール配糖体のtrans-tilirosideに肝臓でのmicrosomal triglyceride transfer protein (MTP) の阻害によるVLDL形成に関与し,VLDLとしてのコレステロール分泌を抑制することを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事業2年目の計画として,事業初年度からの糖・脂質代謝改善効果を期待できる新たな候補素材選定のための評価試験の継続実施に加え,生物活性を指標として分離・精製ならびにNMRをはじめとする各種スペクトルの解析による構造解析および,見いだした活性天然物の構造活性相関,作用機序解明を実施することであった.これらの成果については,次年度以降の研究実績に反映できる基盤研究で,かつ,相応の研究期間を要するものであったが,今年度は,トリテルペンサポニン類の糖および脂肪吸収抑制作用とその構造活性相関に関する知見を得るとともに,trans-tilirosideの肝臓でのMTP阻害活性によるコレステロール分泌抑制作用に関する研究成果を報告するに至ったことから,本研究はおおむね順調に進展しているものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
継続して各種評価試験による有望素材を選定するとともに,ピックアップされた有望素材について,生物活性を指標に分離・精製し,NMRをはじめとする各種スペクトルの解析から活性寄与成分および新規化合物の構造解析などすすめるとともに,見いだした活性寄与成分の全合成および類縁体ライブラリーの合成研究およびタンパクレベルおよび遺伝子レベルでの活性寄与成分の作用メカニズム解析の実施を予定している.これらの検討を複数の素材について同時並行で研究をすすめることで,切れ目のない研究成果のアウトプットが見込めるようにし,もって,エビデンスに基づいた新たな機能性食品あるいは植物性医薬品の候補素材の提案・開発へと繋げたい.
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