研究課題
昨年度,トラッキングシステムの初期設定が実施できたため,今年度はまず,強力な神経栄養因子様活性を有し、且つ、ブラインシュリンプテスト(BST)においてBSが痙攣様の動きを示すことが分かっているt-バングレンを用いてトラッキングシステムの詳細な設定を行った。シャーレにブラインシュリンプを10匹入れて,10秒間ハイスピードカメラで真上から撮影し、映像処理ソフトを用いて動いているBSの画像を抽出する。解析ソフトによりトラッキングし、一定の時間での移動距離として平均値を算出した。コントロールは動きが活発なため,シャーレ側面に入り込み,画像から一時的に消えてしまうが,追尾機能を活用することで消失部分を補うことができた。しかし,追尾機能のON/OFFにより大きく数値が変わらないため,一時的に画像から消えたシュリンプはカウントしないこととした。録画時間,フレーム数など動画撮影,トラッキング解析など詳細に設定してバッチ化し,一気に解析できるため,1回あたり数分で解析が実施できるよう効率化することができた。システムが構築できたので,次に,昨年度,目視のBST方法でBST活性を示すことが確認できている約20種類の植物抽出物に対してトラッキング型BSTを適用した。その結果,BST活性が陽性かつPC12細胞に対する活性が陰性であったいくつかの植物抽出物をトラッキングシステムで再評価した結果,平均移動距離はコントロールと比べて有意な差が認められた。目視で確認することが難しかった痙攣様の動きを明確に数値として示すことができた。
3: やや遅れている
BSTのトラッキングシステムを構築することができたが,PC12細胞を用いたHSTの検討には至らなかった。初年度の遅れは影響しているが,PC12細胞を用いたHTSは既に先行して実施できているため,ある程度の目処は立っていることから進捗に大きな問題は生じないと考えている。
トラッキングして得られたBST結果を数値化し,スコアー1 (S1) として 算出する。既に確立している PC12 細胞を用いたスクリーニング法を改良し,蛍光免疫染色法により神経突起伸展促進活性を蛍光量で定量化できるハイスルー プットNeurite outgrowth screening (HT-NOS)を確立する。マイクロプレートリーダーで測定した蛍光量をスコアー2 (S2)として算出する。改良には既に着手 し,細胞密度,抗体免疫染色時のインキュベート時間などの検討課題を残しているものの,改良法確立の目処は立っている。申請者が見出している数種の神経栄養因子様活性化合物を用いて,確立した2つのHTSについてパイロットスクリーニングを実施し,スクリーニングの精度,妥当性や堅牢性等を検証する。 また,先行して約 100 種類の植物抽出物ライブラリー対して手作業で行ったスクリーニング結果もあるので,これらを用いてスクリーニング系の精度,妥当性や堅牢性,相関性等を検証する。1次スクリーニングで得られたスコアー1 (S1) と2次スクリーニングで得られたスコアー2 (S2)を合算したバイオスコアー (Bs) を算出し,相関性を数値化してBsの閾値や判断基準を決定する
残額で購入できる必要消耗品が無いため,次年度で使用する計画である。
すべて 2024 2023 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
GigaScience
巻: 12 ページ: 1-9
10.1093/gigascience/giac124
Phytochemistry
巻: 213 ページ: 113721
10.1016/j.phytochem.2023.113721
http://p.bunri-u.ac.jp/lab02/index.htm